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案の定、アパートの自室の番号が書かれてあるポストには部屋の鍵が入っていてすんなり中へ入ることが出来た。

「あのさ、」
「うおっ!?おったんか、サム。」
「ポストに血塗れの包丁入れるん、いい加減やめてくれん?いちいち心臓が持たんねん。どこの女かも分からん血やし、気色悪い。」
「ごめんて。でもサムが包丁に付着したありとあらゆるもん消してくれんと、俺、警察行きやからさ。」
「まったく……」

部屋に入って早々、双子の弟の宮治……通称サムに怒られた。耳が痛い。でも、こんな俺に呆れるのも分かる気がした。サムの親切心は、兄弟という腐れ縁からきているものなのか、はたまた別のところからか。
別に分からなくとも、良い。俺にとっては今が楽しければ、良いのだから。

そう思うことにして、俺は自分の机に広げてある大学の教材をカバンに詰めて、コートを取った。

靴を履こうとすると、サムに引き留められる。

「昨日、ウチに忘れたまんまやったやろ。」

サムの手から差し出されたのは、俺が毎日欠かさず飲んでいるクスリ。ある日突然、サムに渡されたものだ。

用意したのはサムだから、俺は何の薬なのかよく分からないけれど、所謂ビタミン剤のようなものらしい。いくら憎かったとしても、双子の俺を殺したりなんかはしないだろう。だから、特に気にせず飲んでいる。サムは医大生だから、クスリに関しては俺よりずっと詳しいハズ。

「あ、ほんまや。サンキュー。でもこれ、そんな毎日飲まなあかんもんなん?」
「何言っとんやお前。」

二人の間に少しの沈黙が流れた。

一瞬、表情を変えたかと思ったが、サムはケロッとした顔で声を発した。

「ずっと前から飲んどうやろ。」
「まあ、たしかにな。ほな、大学行ってくるわ。」
「ほーーい。」

大学に行って、クスリを飲んで、講義を受け終わったら、Aちゃんを探しにでも行こうか。

ついさっきまで、一緒に居たというのにもう寂しく感じてしまう。愛しいとは、こういう感情なのだと思う。きっと。

はよ、会いたいなぁ。





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設定タグ:ハイキュー , 宮侑 , 宮治   
作品ジャンル:アニメ
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水彩campus - めちゃくちゃ良い作品です!!!侑かっこよすぎ……(ニヤニヤ)更新頑張って下さい!!待ってます(*^^*) (2020年11月29日 3時) (レス) id: d614036431 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - チャイさん» チャイさんありがとうございます。色気ムンムンの宮侑目指して今後も頑張ります……! (2018年11月26日 22時) (レス) id: ca6dbfc4b7 (このIDを非表示/違反報告)
チャイ(プロフ) - 色気に溢れた作品ですね……最高です (2018年11月25日 14時) (レス) id: 26170b8b11 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - manaさん» manaさんありがとうございます!楽しんでいただけて何よりです!更新がんばりたいと思います……!! (2018年11月17日 17時) (レス) id: ca6dbfc4b7 (このIDを非表示/違反報告)
mana - とってもいい作品ですね!これからも応援してます!!!!!!!!!! (2018年11月16日 20時) (レス) id: a616d0f8f5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作者ホームページ:https://twitter.com/ninoma_e  
作成日時:2018年11月10日 17時

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