９ ページ9
・
ぴと、くっついてくる宮侑の足から伝わってくるひんやりとした冷たさに鳥肌が立つ。眠いせいで、体はちっとも動かなくて蹴っても暴れても、宮侑には全く効果ナシだ。
「だって俺人間やないもん。」
「……じゃあ、何なの。」
「Aに恋した吸血鬼、とでも言っておこうかな。」
やっぱり私の血を飲んだのだろうか、とか私の血は美味しいのか、とか。聞きたいことは山ほどあるのに瞼が完全に落ちきってしまっていて、声を発する余裕がない。しかし、今この瞬間に私の心臓の音がぐんと加速したのは言うまでもなかった。
一夜明けて、朝。
あれから、意識を保つことさえままならず寝たと思う。記憶がないのだ。宮侑とかいう殺人鬼と添い寝させられた気ような気がするのだが、今朝起きてみるとベッドには宮侑の姿は無かった。
もしかしたら、夢なのかもしれない。そう思うが、腹の傷は無くなっていないし、やっぱり昨日の出来事は現実の事のように思う。
眠い目をこすりながら、リビングのある部屋の方へ行くと、キッチンに包丁を持っている宮侑がいた。
何これ。殺人現場？
周りを見渡しても、血はないしまだ誰も殺していないのだろうとは思うが、声をかけるのは危険だと脳が言っている。どうしたものかとその場で固まっていると、宮侑は振り向いた拍子に私を見つけ、ふにゃりと微笑んだ。
「おはようさん。」
「私の家を殺人物件にしないでよ！？」
「はあ？せんわ。泊めてくれたから何かせなアカン思て、朝飯作っといたったんや！」
「私がやるから、宮侑に包丁持たせるとロクなことが無い」
「何や、ビビッとんか？」
ニヒルな笑みを見せつけられて、一歩後ろに下がる。ジリジリと近づいてくる距離に恐怖を感じさせられる。ドキドキしたり、怖くなったりで私の心臓は昨日からずっと騒がしい。上から下を舐めまわすような目で見られる。それから、宮侑はざっと前髪をかきあげて息苦しそうにため息をついた。
「あーー、予定変更や。今日はやめとこ思たのに。アンタの顔見てたら腹減ってきたわ。」
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 449人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
水彩campus - めちゃくちゃ良い作品です！！！侑かっこよすぎ……(ニヤニヤ)更新頑張って下さい！！待ってます(*^^*) (2020年11月29日 3時) (
レス) id: d614036431 (このIDを非表示/違反報告)
一(プロフ) - チャイさん» チャイさんありがとうございます。色気ムンムンの宮侑目指して今後も頑張ります……！ (2018年11月26日 22時) (レス) id: ca6dbfc4b7 (このIDを非表示/違反報告)
チャイ(プロフ) - 色気に溢れた作品ですね……最高です (2018年11月25日 14時) (レス) id: 26170b8b11 (このIDを非表示/違反報告)
一(プロフ) - manaさん» manaさんありがとうございます！楽しんでいただけて何よりです！更新がんばりたいと思います……！！ (2018年11月17日 17時) (レス) id: ca6dbfc4b7 (このIDを非表示/違反報告)
mana - とってもいい作品ですね！これからも応援してます！！！！！！！！！！ (2018年11月16日 20時) (レス) id: a616d0f8f5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：一 | 作者ホームページ：https://twitter.com/ninoma_e
作成日時：2018年11月10日 17時
