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渋「『すれ違う若者たちにあの頃の僕らを重ねた』」
渋村「やんちゃな夢にはしゃくばかりで」
渋村「『じゃれあうように青春を生きていたね』」
横「『さよならをいくつか越えて』」
丸「『それなりに大人にもなって』」
横丸「笑顔は直ぐに作れるのにさ」
『なぜなのかな 上手く泣けない』
錦「あなたはそのままで居てねと」
安「冬が終わる日に君は言った」
倉「はぐれて行くその手を僕は握り返せなかった」
安錦倉「雪はただ舞落ちて それぞれが始まる」
「「『きっと僕らが生きる明日は 悲しいけどもうひとつじゃない それでも君がくれたぬくもりだけが胸にあるんだ 僕らがみたのは青春のすべて 忘れはしないよ 季節が変わっても』」」
渋「起きがけのニュースで知った いつの間にか桜が咲いたと」
『鞄を手にして部屋を出て行く』
横「この春に君はもう居ない」
丸「これまでを忘れたいわけじゃない」
村「これからを想って生きたいんだ」
錦「だからこそ藻掻いて足掻いて 自分なりを掴んで」
『君が知らない未来を ひとりで歩くよ』
安「そして僕は何度もその手を思い出して泣きそうになって 情けないなと悔しがってまた前を向くんだろな」
倉「戻らない日々を悲しみはしないよ あの日の僕らはそう笑っていたんだ」
「「いつの日にかまた春がきたら今度こそはちゃんと伝えるよ 君に出会えてよかった 僕は明日を生きている」」
『僕らが見たのは青春のすべて 忘れはしないよ 季節が変わっても』
ピアノの音が止んで、会場に割れんばかりの拍手が響いた。
すばるくんと隆平くんがAに寄って、肩を貸して立ち上がらせる。
亮くんと章大くんも3人の傍に詰めた。
そして、後列の3人も、ゆっくりと前に出てくる。
忠が隆平くんとAの間に入って、祐くんと信五くんが、6人を挟み込む。
いつもの8人の並びだった。
Aがマイクを口元に寄せる。
『28年間のアイドル人生の中で、一日でも私を応援してくださった皆さん。一日でも私に関わってくださった皆さん。そして、一日も欠かさず、一緒に居てくれたメンバー。心からありがとうの気持ちでいっぱいです』
7人の顔が、ぐちゃぐちゃに歪んだ。
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作者名：藻くずちゃん | 作成日時：2022年9月28日 16時
