幼馴染と噂の店主�� ページ12
冷えてしまった空気になんてことないような顔をするギルさんにやはり住む世界が違うのだと実感する。
どこの世界にもいい人悪い人と別れる。
それと同時に常識がズレ、時折逸脱したものが生まれる。
社会に適合できなくなった誰かが似たもの同士の大勢を連れて作り上げた非常識が常識となる街、ダウンタウン。
この街で、この地域で頭が常識だといえばそれはやがて疑われることのない正当性を持つこととなる。
「最初のアルマをどのぐらい知ってるかって問いを答えるならなぁ。俺は"知らない"って答えるぜぇ。」
「それまるっきり知っていると答えてるようなもんですよ！？」
「あぁ。知ってるしなぁ。でもしーらね。俺はこいつのこと全然知らねぇ。」
「ええ！？無茶苦茶言いますね！？」
飲み切ったハイボールのグラスが眠りこけるアルマが使用していたグラスの隣へ置かれる。
この数時間で知った、アルマにだけ向けるひどく優しい笑顔が二つのグラスへ移り込む。
眠る彼を慈悲むような姿と穏やかに寝る幸せ者だけがガラスの世界に映し出された。
「ダウンタウンの誰だとか、どこ生まれの誰だとか、そういう面倒なこと全部ほっぽりだして俺に惚れたコイツは今もずーと変わらない思いを俺にぶつけてる。」
顔も合わせたことのないギルさんへアルマが最初に放った言葉が今も忘れられないのだという。
「コイツ。あろうことか俺に向かって"好きです！付き合ってください！"って頭下げてきたんだぜ？"お前の名前も知らねぇ”っていったら"俺もあなたの名前を知りません！でも好きです！"だってよ！ばっかじゃねぇのぉ？」
「それは…馬鹿丸出しですね…。」
ギルさんにとっては馬鹿だけれど好ましいと思った告白。
そんな馬鹿らしい告白という名の茶番劇は今なお続けられている。
お互いの名前を知っても好きなものを知っても住む場所を知っても、二人の気持ちが変わらないから。
「コイツは俺が言うことだけを"知ったこと"にした。だから俺も馬鹿が言いだすまで知らねぇって言い通す。」
「なんでそんな遠回りなことを？」
「二人で少しずつ進んでいくってのは楽しそうじゃねぇカ。」
そこでようやく合点がいった。
何だこいつら。
とっくにお互いのこと…。
いつまでも付き合わないのはギルさんが落とされないからだ。
いや、もうこれは様式美の話で。
幼馴染の阿呆がギルさんの気持ちに気付いてしまえばこの二人は…。
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午睡(プロフ) - 空弥さん» ご感想ありがとうございます！早めの更新を心掛けて頑張ります！ (2019年2月26日 19時) (
レス) id: 3cc312a385 (このIDを非表示/違反報告)
午睡(プロフ) - ナッツさん» ご感想ありがとうございます！とっても励みになります…！ (2019年2月26日 19時) (レス) id: 3cc312a385 (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - 絡みがすごく可愛らしくて好みです……！作者様のペースで更新頑張ってください、応援してます (2019年2月24日 13時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
ナッツ(プロフ) - 好きです!!!最高です！続きめっちゃ気になります！更新楽しみにしてます!!!!!!! (2019年2月24日 3時) (レス) id: 7b2bfdb44e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：午睡 | 作成日時：2019年2月18日 19時
