青城三年、馬鹿五人

日常２５ ページ26

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｢及川お前、アルゼンチン行くってまじ？｣



｢まじまじー！！｣





肌寒くなってきた頃の帰り道、私は一人歩く及川に走って追いつき、今日一日ずっと聞きたかったことを口にした。


及川はその問いにダブルピースをして答えた。









｢止めたりはしないけどさ、いいの？及川。｣



｢大丈夫、俺はバレーがしたいから。｣



｢誰も、及川のことを知っている人は居ない。まっさらな状態から一からやるんだ。｣



｢なに、A心配してくれてるの。珍しーー！！でも流石にこの及川さんもそんな生ぬるい覚悟で、アルゼンチンなんて言ってないからね。｣








そういって、及川は真剣な顔で語る。私はそんな及川に、少し怖さを覚えたが、言葉を続けた。







｢いや違う違う。私が心配してんのは、及川センパーイ♡って寄ってきてくれる女の子たちがいなくなって、メンタル保てるのかなって。｣



｢Aちゃんは、俺が女の子に応援してもらわないと出来ないポンコツだとでも思ってるのかな！！！？？？｣




｢…………。｣



｢なんっっっか言えよ！！！！！｣








そう騒ぐ及川に、堪えきれず笑う私。こんなにも馬鹿なことをしているのに、あと数ヶ月で海外にいくなんて実感がいまいち湧かない。









｢Aは進路決めてるの？｣



｢……バレー関連の仕事に着きたいとは思ってる。｣



｢ふーん、意外だな。てっきり、女優にでもなろっかなぁとか適当なことを言い出すかと。｣



｢女優かぁ。悪くないね。｣



｢マジで言ってんの？？？｣








大学に行って、試しにオーディションでも受けてみるのも人生経験のひとつかもしれない。なんて、及川の発言に軽いノリで考える私。



もう私達はそれぞれ別れていくんだな、なんて感じてしまって、勝手に寂しくなる。








｢そういや、岩ちゃんもアメリカ行こうかなとか言ってたよ。｣



｢ほんっと、君らは規模がでかいな！！？？｣








日常｢それぞれの進む先｣




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