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どれくらい叫んだのか。

声が掠れてくる。

成川に偉いこと言ってるけど私も謝らなきゃ。

4機捜みんなに桔梗隊長に。

ムーちゃんに。

九重には、沢山迷惑かけたから沢山謝らなきゃ。

だからこんな所でへばってられない。

最後かもしれない。

大きく息を吸い

『助けて!!!』

大声で叫ぶ。

でも、誰も来ない。

どしたら助かるんだろう空を見上げながら考えると、井戸の蓋が開いた。

顔を覗かせたのは、志摩さんと伊吹さん。

伊吹「Aちゃん!」

志摩「成川!羽野麦は無事か!」

薄暗かった井戸の中に光が差し込んだ。

成川「桔梗さんって人に伝えて!エトリ車のナンバーを伝えてくれって!品川331しの32」

志摩「わかった!待ってろ今助ける」

ハムちゃんは最後まで諦めてなかったんだ。

私よりもずっとずっとハムちゃんは強かった。

しばらくしてから、上からロープとジャケットが降りてきて私はそれをハムちゃんに取り付けた。

『ハムちゃんもう大丈夫だよ…あと少し…頑張って。お願いします!』

ハムちゃんを引き上げられるのを見上げながら、結構体力の限界に気がつく。

「成川!名字さん!」

九重の声が聞こえてきた。

『…九重』

もう叫ぶ気力すらない。

次に降りてきた、ロープとジャケットを成川に取りつける。

成川「俺はまだ大丈夫です。刑事さん先に」

『行きなさい。あなたはまだ子供なんだからそんな気を使わないでいいの…それに謝るんでしょみんなに…』

カラビナをがっちり固定し終わる。

『…お願いします』

これで成川も助かる。

そう思った時に体の力が一気に抜ける。

成川「刑事さん!」

助けられた。

今度は助けられた。

私にもしっかりできるんだ。

『よかった…』

体が支えられなくなり水の中に沈む。

これで終わりか。

そんなことを思っていると、誰かが私を引き上げる。

「名字さん!」

『…九重』

「もう、大丈夫です!しっかりしてください」

『ごめんね』

「え?」

『無茶ばっかりして、迷惑かけてごめんね…ごめんなさい』

「名字さんが無事でよかった…それだけでいいんです」

抱きかかえられて感じる温もり。

『私…やめようとしてた警察を…』

ポケットからは濡れた退職届。

『でも、やっぱりまだ続けていいかな?』

「…あなたは警察に必要な人です。誰よりも痛みがわかるからこそ必要なんです」

九重は私の手から退職届を奪い、井戸の中に捨てた。

「自分とこれからも一緒にいてください」

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にる(プロフ) - めろんぱんさん» コメントありがとうございます!コメントいただけると励みになります!引き続き宜しくお願い致します! (2020年9月19日 22時) (レス) id: 6400c0deab (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - ほんっとに大好きです更新待ってますね! (2020年9月19日 19時) (レス) id: 7f8d6bcdd4 (このIDを非表示/違反報告)
にる(プロフ) - 田端さん» ありがとうございます!引き続き作品よろしくお願いします(^^) (2020年9月18日 8時) (レス) id: 6400c0deab (このIDを非表示/違反報告)
田端 - 犬猿の仲だけど心を開きつつある、そんな2人がこれからどうなっていくのか楽しみで仕方ないです。更新頑張ってください!!!!!!!応援してます!!! (2020年9月18日 7時) (レス) id: 12808757ff (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:にる | 作成日時:2020年9月15日 12時

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