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『ハムちゃんしっかりして!』
意識が朦朧とするハムちゃんを抱えて助けを呼ぶが誰も来ない。
成川「ごめんなさい…」
小さく何度も謝る成川。
私たちは井戸の底に落とされた。
光も少ししか当たらない暗い井戸。
『大丈夫…絶対に来るよ。だから頑張ろ』
ここがどこかも分からないまま、何度も何度も助けを呼ぶ。
酸素が薄い中に大声で叫べば酸素が無くなる。
その間にも、ハムちゃんがどんどん弱っていく。
『ハムちゃん…ダメだよまだ。桔梗隊長が待ってるよ…ゆたかが待ってるよ…』
井戸からハイは上がろうとしても掴まれる場所がなく登れない。
誰かが私たちを見つけてくれないと助からないこの状況。
成川「刑事さん大丈夫?」
『…大丈夫。2人とも助ける』
ぼーっとする意識の中私は、成川とハムちゃんを助けるその事だけわ考えて助けを呼び続けた。
私が、女じゃなければこんなことにはならなかったかもしれない。
最近、1人で突っ走ってなければもしかしたら誰かと連絡が取れていたのかもしれい。
かもしれない話を永遠とし続けて私は自分を責め続けた。
本当に無力な人間。
父さんの言うことを聞いて、さっさとどこかの知らない人と結婚してればよかった。
そしたら西田も死な無かったのに。
『…ごめんね。』
麦「…Aちゃん」
弱々しく私に声をかけるハムちゃん。
『ハムちゃん!大丈夫?』
麦「AちゃんはAちゃんだよ」
『え?』
麦「Aちゃんが最近おかしいって…桔梗さんが言ってたの…何も出来ない自分を責めてるって…でも、そんなことないよ。私はAちゃんに会えて救われたよ…Aちゃんみたいな友達がいるから頑張れたんだよ…それに、助けてられたんでしょ?高校生の女の子」
高校生の女の子。
ぱっと頭に浮かんだのは成川と同級生の真木カホリ。
『…真木…カホリ?』
麦「名前までは分からない。でも、助けてあげられたのは事実だよ?Aちゃんが助けたんだよ…Aちゃんにしか出来ない事があるんだよ…だから…諦めないで…」
ハムちゃんは、まだ意識を失ってしまった。
成川「真木に何かあったんですか?」
『…真木カホリがわいせつ犯に捕まったのを助けたの…。あの日の夜…あなた達が、やった虚偽通報のせいで見つけるのが遅れた。でも、助かった。真木は無事だよ…』
成川「…ごめんなさい」
『私に謝っても仕方が無いでしょ。ここを出て謝るの』
私たちはまた、遠くの光に向かって叫び続けた。
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にる(プロフ) - めろんぱんさん» コメントありがとうございます!コメントいただけると励みになります!引き続き宜しくお願い致します! (2020年9月19日 22時) (レス) id: 6400c0deab (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - ほんっとに大好きです更新待ってますね! (2020年9月19日 19時) (レス) id: 7f8d6bcdd4 (このIDを非表示/違反報告)
にる(プロフ) - 田端さん» ありがとうございます!引き続き作品よろしくお願いします(^^) (2020年9月18日 8時) (レス) id: 6400c0deab (このIDを非表示/違反報告)
田端 - 犬猿の仲だけど心を開きつつある、そんな2人がこれからどうなっていくのか楽しみで仕方ないです。更新頑張ってください!!!!!!!応援してます!!! (2020年9月18日 7時) (レス) id: 12808757ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にる | 作成日時:2020年9月15日 12時