過去も未来も(F.T) ページ40
そっと重なった唇。
閉じた瞼で蘇る様々な記憶。
同期のAと出会ったのは2011年のこと。
あれから長い年月を経て、俺らはようやく結ばれた。
A「…大晴」
福本「…ん？」
恥ずかしそうに俯くAの髪を撫でる。
A「…今めちゃめちゃ幸せやわ、私」
福本「ん、俺もやで」
好きだった。
だけどそれが叶わない恋だと悟った。
次第に気持ちが消えていった。
同じグループのメンバーになった。
俺は驚きつつも少しだけ嬉しかった。
自然と気持ちが再燃した。
Aはなかなか振り向いてくれなかった。
思い返せば俺も俺で目立ったアピールはしていない。
だけどAは俺を好きになってくれた。
その事実を心の底から嬉しく思う。
再び唇が重なった。
多分今日は止まれない。
幸せの反面、少しだけ腹が立つ。
Aの初めては何1つ残されていないから。
自分が何番目なのかを考えてしまうあたり、俺もまだまだ子供だ。
でも男ってそういうもんちゃう？
最初になりたがる生き物やろ？
どんな恋愛をしてきたのか、どんな相手を好きになってきたのか。
気にすれば気にするほど自分をちっぽけに思うけれど、思考回路は止まらない。
A「あ、待って」
福本「ん？」
A「…お風呂入りたい…です」
そんなんどうでもええやんか。
―と思いつつ嫌われたくないので黙って頷く。
暫くしてシャワーの音が聞こえてきた。
ダンスレッスンの帰り道で大喧嘩したこと、
まいジャニで俺のギャグにツボったAが過呼吸になりかけたこと、
ライブのリハ中に2人揃って振付師さんに叱られたこと、
本番直前で怪我したAをおんぶして運んだこと、
蘇ってくる思い出の全てが愛おしくて堪らない。
間違いなく俺の宝物だと断言できる。
A「…お待たせ」
福本「ん、おいで」
Aを強く抱き締めた。
最初になれなかったのなら最後になればいい。
過去を全て塗り替えてしまえばいい。
Aと同じように、俺の初めても何1つとして残っていない。
だから俺もAに"俺の最後"を捧げよう。
A「大晴」
福本「ん？」
A「…好き」
福本「…俺も」
囁き合った愛の言葉。
溶けるような夜が更けていく。
"同期"としての思い出も"彼女"としてのこれからも、何もかもが俺だけのもの。
Fin
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わさび醤油(プロフ) - kkさん» 最後まで楽しんで頂き、こちらこそありがとうございました！今後も読んで頂けるように頑張ります！ (2022年8月17日 16時) (
レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
kk(プロフ) - 紅一点設定の短編集ずーっと楽しく読ませて頂きました！たくさんの素晴らしいお話をありがとうございました😍また新しい作品も楽しみにしています💕 (2022年8月17日 1時) (レス) @page50 id: 797470a670 (このIDを非表示/違反報告)
わさび醤油(プロフ) - なつきさん» ありがとうございます！次の作品もお楽しみに…！ (2022年8月16日 9時) (レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
なつき(プロフ) - 素敵なストーリーをありがとうございました。新しい作品を楽しみにしています！ (2022年8月16日 1時) (レス) @page50 id: 292579ac7e (このIDを非表示/違反報告)
わさび醤油(プロフ) - とんとんまるさん» 素敵なコメントありがとうございます！とっても嬉しいです。今後のお話もお楽しみに…！ (2022年8月13日 6時) (レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わさび醤油
| 作成日時：2022年7月13日 2時
