でも、きっと(N.D) ページ39
時々不安になってしまう。
Aと俺が互いに抱く気持ちの大きさに差があるのではないか、と。
傍から見れば贅沢な悩みに過ぎない。
俺はAのことが好きで、Aも俺のことが好き。
恋人関係にある俺らは幸せを噛み締めながら日々を過ごしている。
でもきっと―
A「あー…疲れた」
ベッドでぐったりと横たわるA。
A「今日のロケハードやったわあ」
西畑「そうなん？お疲れ様やな、」
Aはいつも仕事の話ばかり。
それは休日も同様に。
A「明日も外ロケやし自分の部屋戻る」
西畑「もう行くん？」
A「うん」
ゆっくりと体を起こしたA。
そのまま腕を伸ばして唸り声を上げる。
ストイックな性格を好きになった―
はず。
だけど今は違う。
付き合う前と変わらず尊敬はしているけれど、Aの仕事に対する姿勢を少しだけ厄介に思ったり思わなかったり。
A「大ちゃんも明日仕事やろ？」
西畑「…まあ」
A「やったらはよ寝た方がええやん」
同じホテルの隣の部屋。
たった1枚の壁がとても分厚く感じてしまうのは何故だろう。
A「じゃ、おやすみ」
Aが立ち上がった。
俺とAでは"恋愛"にかける熱量が違う。
俺が10だとしたらAは5。
その差はどうしたって埋まらない。
すれ違いを生む原因になりかねない。
だけどずっと見て見ぬふりをしてきた。
だって終わらせたくなんかないから。
でもきっと―
西畑「A、」
手首を掴んだ。
A「ん？」
くるりと振り向いたAの目の下に薄らとクマが見える。
西畑「…おやすみ」
A「うん、おやすみ」
そっと手を離した。
Aは躊躇なくドアへ向かう。
"もう少し一緒におってや"と言えなかったのはクマのせい。
だとすれば"2人で寝たらええやん"と言えなかったのは何のせいなんだろう。
物理的な壁とは別に心理的な壁が存在している。
乗り越える事も破壊することもできない"それ"はきっと―
西畑「A、待って」
A「ん？何？」
ドアが閉まる直前に呼び止めた。
A「どうしたん？」
西畑「…多分もうあかんわ、」
A「え？」
きっと離れた方が幸せになれる。
西畑「…今までありがとう、」
Fin
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わさび醤油(プロフ) - kkさん» 最後まで楽しんで頂き、こちらこそありがとうございました！今後も読んで頂けるように頑張ります！ (2022年8月17日 16時) (
レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
kk(プロフ) - 紅一点設定の短編集ずーっと楽しく読ませて頂きました！たくさんの素晴らしいお話をありがとうございました😍また新しい作品も楽しみにしています💕 (2022年8月17日 1時) (レス) @page50 id: 797470a670 (このIDを非表示/違反報告)
わさび醤油(プロフ) - なつきさん» ありがとうございます！次の作品もお楽しみに…！ (2022年8月16日 9時) (レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
なつき(プロフ) - 素敵なストーリーをありがとうございました。新しい作品を楽しみにしています！ (2022年8月16日 1時) (レス) @page50 id: 292579ac7e (このIDを非表示/違反報告)
わさび醤油(プロフ) - とんとんまるさん» 素敵なコメントありがとうございます！とっても嬉しいです。今後のお話もお楽しみに…！ (2022年8月13日 6時) (レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わさび醤油
| 作成日時：2022年7月13日 2時
