俺だけのもの(T.K) ページ30
打ち合わせの合間、ふとAの横顔に違和感を感じた。
高橋「…Aそんなん持ってたっけ」
その声にAが振り向く。
A「え？」
高橋「それ」
耳元を指差した。
今までに1度も見たことのないデザインのピアスが耳たぶで光っている。
たったそれだけの些細な変化に気付いてしまうくらい、俺はAのことを常日頃よく見ている。
A「あー、これ初めてつけたかも」
細い指がピアスに触れた。
軽く揺れたそれは小ぶりながらも存在感のあるデザインで、Aによく似合っている。
―いつ買ったんやろ。
そんな疑問が湧いた。
Aは今ドラマの撮影とライブに向けての準備を同時進行しており、かなりのハードスケジュールで動いている。
今回の公演は演出面にも携わるということで、俺らより多く打ち合わせを重ねているはず。
そんな中、いつ買い物に行くような時間があったんだろう。
気になり始めたらキリがない。
高橋「どこで買ったん？」
A「あー…どこやったかな」
高橋「最近？」
A「んー…まあ、最近っちゃ最近」
はぐらかすような口調に嫌な予感がした。
高橋「…誰かに貰ったとか？」
その瞬間に目を逸らされる。
分かりやすいなあ、相変わらず。
A「ちゃうよ、」
どこまでも下手な誤魔化し方にイライラする。
高橋「嘘つくん下手すぎるやろ…」
Aに限って浮気なんて絶対ない。
それは分かっている。
信頼だってしている。
高橋「誰に貰ったん？」
Aは黙って俯くばかり。
長尾「高橋くん」
謙杜に呼ばれて顔を上げる。
どこか勝ち誇ったような眼差しに嫌な予感が深まった。
長尾「それ、俺がAにあげたやつやで」
高橋「…何で謙杜が？」
長尾「たまたま見つけて似合いそうやなあって」
なあ、俺の信頼は間違ってへんよな？
Aは俺のもんやんな？
今日も明日も、来年も再来年も。
ずっと俺だけのもんやろ？
Aは黙ったまま何も言わない。
長尾「高橋くんそんなんで怒ったりせえへんやろ？」
煽るような視線と口調。
長尾「浮気してる訳ちゃうんやから」
俺はAの頬を掴んで無理矢理キスをした。
A「ん、」
藤原「おい、恭平何してん」
西畑「職場やで、ここ」
高橋「…すみません、」
謙杜の悔しげな表情を視界の端で捉えた。
悪いけど、絶対渡さんからな。
―誰にも。
Fin
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わさび醤油(プロフ) - kkさん» 最後まで楽しんで頂き、こちらこそありがとうございました！今後も読んで頂けるように頑張ります！ (2022年8月17日 16時) (
レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
kk(プロフ) - 紅一点設定の短編集ずーっと楽しく読ませて頂きました！たくさんの素晴らしいお話をありがとうございました😍また新しい作品も楽しみにしています💕 (2022年8月17日 1時) (レス) @page50 id: 797470a670 (このIDを非表示/違反報告)
わさび醤油(プロフ) - なつきさん» ありがとうございます！次の作品もお楽しみに…！ (2022年8月16日 9時) (レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
なつき(プロフ) - 素敵なストーリーをありがとうございました。新しい作品を楽しみにしています！ (2022年8月16日 1時) (レス) @page50 id: 292579ac7e (このIDを非表示/違反報告)
わさび醤油(プロフ) - とんとんまるさん» 素敵なコメントありがとうございます！とっても嬉しいです。今後のお話もお楽しみに…！ (2022年8月13日 6時) (レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わさび醤油
| 作成日時：2022年7月13日 2時
