親友からの贈り物(M.Y) ページ31
正門「ほんまにもう限界なのよ、」
美味しいお酒と美味しいご飯、目の前に座る親友。
アルコールでふわふわする脳内。
西畑「俺に言ってもどうにもならんよ、正門」
正門「分かってるけど…」
大吾も軽く酔っているのか、瞬きがいつもより重たいような気がする。
西畑「はよ本人に伝えたらええやん」
正門「それができたら悩んでへんよ〜、」
思わずテーブルに突っ伏した。
何度目の相談か分からない。
それでも大吾は毎回親身になって話を聞いてくれる。
感謝はしている。
申し訳ないとも思っている。
だけどやっぱり臆病な俺は何もできないまま、ただ時の流れに身を任せるだけ。
西畑「そろそろええ話聞きたいけどなあ、正門から」
俺だって大吾に胸を張って良い報告をしたい。
正門「ほんまに好きなんよ、」
西畑「うん」
正門「ずっと好きなんよ、」
西畑「そやなあ」
正門「誰かのもんになってほしくないんよ…」
願わくば俺のものに―
なんて思ったって俺が行動しない限り何も進まない。
西畑「はよせんと誰かに先越されるで？」
悪戯っぽく笑う大吾。
目の前のハイボールがシュワシュワと音を立てている。
ウイスキーとレモンの香りが鼻を抜けていく。
西畑「正門、」
正門「ん？」
大吾の優しい声に顔を上げた。
西畑「俺ら2人で喋ってても埒明かんやん」
正門「うん、」
西畑「やから呼んどいた」
正門「へ？」
西畑「本人」
正門「…は？」
個室にノック音が響いた。
西畑「入ってええよ〜」
その声と共に開く扉。
A「大吾くんお久しぶりです」
そして現れた想い人。
西畑「じゃ、そろそろ出るわ」
A「え？私今来たとこやのに」
西畑「西畑明日朝早いんよ〜、やから正門に付き合ったげて？」
そう言って爽やかに手を振って出ていく大吾。
完全にやられた。
A「大吾くん冷たいなあ」
先程まで大吾が座っていた椅子にちょこんと腰掛けたAがこちらを向く。
A「…正門くん酔ってます？」
正門「あ、いや、」
A「一言も喋らんけど…」
都内で会うAは普段現場で見る姿と少し違って見える。
いや、それは俺が酔ってるせいかも。
正門「…A、」
親友が用意してくれた大チャンスを潰す訳にはいかない。
今を逃せばもう―
正門「今から大事な話するから…聞いてくれる？」
大吾、俺ちゃんと言うで。
こうして長年の片思いに終止符を打つ瞬間が訪れた。
Fin
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わさび醤油(プロフ) - kkさん» 最後まで楽しんで頂き、こちらこそありがとうございました！今後も読んで頂けるように頑張ります！ (2022年8月17日 16時) (
レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
kk(プロフ) - 紅一点設定の短編集ずーっと楽しく読ませて頂きました！たくさんの素晴らしいお話をありがとうございました😍また新しい作品も楽しみにしています💕 (2022年8月17日 1時) (レス) @page50 id: 797470a670 (このIDを非表示/違反報告)
わさび醤油(プロフ) - なつきさん» ありがとうございます！次の作品もお楽しみに…！ (2022年8月16日 9時) (レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
なつき(プロフ) - 素敵なストーリーをありがとうございました。新しい作品を楽しみにしています！ (2022年8月16日 1時) (レス) @page50 id: 292579ac7e (このIDを非表示/違反報告)
わさび醤油(プロフ) - とんとんまるさん» 素敵なコメントありがとうございます！とっても嬉しいです。今後のお話もお楽しみに…！ (2022年8月13日 6時) (レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わさび醤油
| 作成日時：2022年7月13日 2時
