似た者同士(K.K) ページ21
数日間東京で仕事をしていたAが帰ってきた。
A「ただいま〜」
穏やかな声と安心しきったような笑顔。
そしてそのまま伸びる腕。
A「小島ぁ、」
俺が何かを言う前に背中に回った小さな手。
ぴったりと密着した体から体温を感じる。
A「会いたかった…」
そのまま暫く無言のまま抱き締め合った。
アイドルとはいえ、生きていれば辛いことは沢山ある。
人に幸せを届けることが俺らの仕事だけど、その分失うものだって少なからずある。
それらを飲み込んで人知れず我慢して、疲れや憂いを見せないように努力する毎日。
小島「…おかえり」
腕に力を込めた。
世界中でたった1人、俺だけには弱さを見せてほしい。
そう思い始めてから約1年、今となってはそれが当たり前になっている。
Aが彼女で良かった―
そう思うと同時に、Aの彼氏が俺で良かったとも思う。
A「やっぱ安心するわあ」
小島「何が？」
A「大阪も小島も」
優しい笑顔を向けられて俺は思わず目を逸らした。
A「照れてるやん」
小島「照れてへん」
A「目逸らさんといて」
小島「じゃあこっち見るんやめろ」
そんな素直じゃない言葉も受け止めてくれるAのことが心から愛おしい。
A「あ、そういえば謙杜に会ったで」
小島「お〜、長ちゃん元気やった？」
A「めちゃめちゃ元気。ほんまに忙しいんか疑うレベル。」
小島「俺も久々会いたいなあ」
A「謙杜も同じこと言うてたわ、」
なあ、東京で俺以外の男と会うんやめてくれへん？
―勿論そんなこと言えるはずもなく。
長ちゃんと会う時、どんな顔をしていたんだろう。
どんな話をしてどんな時間を過ごしたんだろう。
さっきみたいな笑顔、長ちゃんにも見せたんかな。
離れていた体をもう一度引き寄せた。
A「わ、何？」
さっきよりも強く抱き締める。
俺がAを好きでいるうちは、Aも俺を好きでいてほしい。
俺がAに見せる弱みと同じくらいの弱みを俺に見せてほしい。
自己中心的？
上等や。
A「…小島が彼氏で良かった」
小島「何やねん急に」
A「…私が小島の彼女で良かった」
なあ、俺ら似た者同士やな。
小島「そもそも俺しか有り得へんやろ、」
A「ふふ、確かに」
Fin
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わさび醤油(プロフ) - kkさん» 最後まで楽しんで頂き、こちらこそありがとうございました！今後も読んで頂けるように頑張ります！ (2022年8月17日 16時) (
レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
kk(プロフ) - 紅一点設定の短編集ずーっと楽しく読ませて頂きました！たくさんの素晴らしいお話をありがとうございました😍また新しい作品も楽しみにしています💕 (2022年8月17日 1時) (レス) @page50 id: 797470a670 (このIDを非表示/違反報告)
わさび醤油(プロフ) - なつきさん» ありがとうございます！次の作品もお楽しみに…！ (2022年8月16日 9時) (レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
なつき(プロフ) - 素敵なストーリーをありがとうございました。新しい作品を楽しみにしています！ (2022年8月16日 1時) (レス) @page50 id: 292579ac7e (このIDを非表示/違反報告)
わさび醤油(プロフ) - とんとんまるさん» 素敵なコメントありがとうございます！とっても嬉しいです。今後のお話もお楽しみに…！ (2022年8月13日 6時) (レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わさび醤油
| 作成日時：2022年7月13日 2時
