消えますように(N.D) ページ47
好きになってはいけない人なんて本当に存在するのだろうか。
俺はその疑問とずっと戦い続けている。
大橋「俺のスマホ知らん？」
A「ここにありますよ」
大橋「ほんま！？Aありがと〜！」
流れるように自然とAを抱き締めるはっすん。
藤原「職場でイチャイチャすんな」
長尾「仲悪いよりは良いっすやん」
大橋「そやで！謙杜が言うんやから間違いない！」
今日も今日とて賑やかな楽屋。
日々のハードスケジュールが嘘みたいに平和な時間。
俺はこのグループが好き。
メンバー1人1人、それぞれに愛を抱いている。
この仕事も好き。
アイドルという職業を選んだ過去の自分を褒めちぎりたいくらい。
A「大橋くん、暑い…」
大橋「あっごめん！」
ようやくはっすんがAから離れた。
グループへの愛、そしてメンバーへの愛。
仕事への愛や支えてくれるスタッフさん、家族への愛。
正門を筆頭にした友達に向ける愛や同期、後輩への愛。
そのどれにも当てはまらないのがAへの愛だ。
道枝「あ、てかずっと思ってたんですけど」
A「ん？」
道枝「何で敬語なんすか？」
長尾「それ俺も思ってたあ！」
不思議そうな顔を浮かべる2人に軽く微笑むA。
A「先輩後輩やもん」
長尾「でも彼氏彼女っすやん！」
A「2人ん時は、ね」
余裕たっぷりの表情にノックアウト寸前の年下組。
俺も少しだけ目眩がした。
はっすんは先輩だけど友達のような人。
当たり前に大切で、当たり前に大好きで。
だけど―
大西「すごいよなあ、敬語とタメ口使い分けてるってことやろ？」
道枝「確かに…」
好きになってはいけない人。
それは俺にとってAを意味する。
高橋「Aちゃん器用っすね」
A「恭平に褒められるとむず痒いわ」
俺の気持ちは間違っている。
はっすんの彼女を好きになるなんて、絶対にあってはならないこと。
マネージャー「リハーサル10分前でーす」
大橋「はーい」
早くこの気持ちが消えますように―
そんな願いを抱きながら過ごす毎日に嫌気がさし始めている今日この頃。
密かに好きでいることにさえ罪悪感を感じるのははっすんの人柄が良いせいだろうか。
A「大吾？」
西畑「ん？」
俺を呼ぶ愛おしい声に顔を上げる。
A「はよ行くで」
西畑「…うん、」
好きになってごめんな、なんて誰に向けたか分からない言葉が頭の中で溶けていった。
Fin
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わさび醤油(プロフ) - kkさん» 最後まで楽しんで頂き、こちらこそありがとうございました！今後も読んで頂けるように頑張ります！ (2022年8月17日 16時) (
レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
kk(プロフ) - 紅一点設定の短編集ずーっと楽しく読ませて頂きました！たくさんの素晴らしいお話をありがとうございました😍また新しい作品も楽しみにしています💕 (2022年8月17日 1時) (レス) @page50 id: 797470a670 (このIDを非表示/違反報告)
わさび醤油(プロフ) - なつきさん» ありがとうございます！次の作品もお楽しみに…！ (2022年8月16日 9時) (レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
なつき(プロフ) - 素敵なストーリーをありがとうございました。新しい作品を楽しみにしています！ (2022年8月16日 1時) (レス) @page50 id: 292579ac7e (このIDを非表示/違反報告)
わさび醤油(プロフ) - とんとんまるさん» 素敵なコメントありがとうございます！とっても嬉しいです。今後のお話もお楽しみに…！ (2022年8月13日 6時) (レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わさび醤油
| 作成日時：2022年7月13日 2時
