夏色の君は知っている

国語 ページ5

「え？国語を教える？」


「うん。」


「誰が、誰に…？」


「彩が、俺に。」


「な、なんで？」


「なんでって…教えて欲しいから。」


ごめん、話が見えない。私が夕に国語を教える！！？？？


「ああ、急にごめんね。俺さあんまり勉強って得意じゃないんだよね。スポーツの方ばっかりできてさ…。その中で国語が1番苦手で、どうにかならないかなって。ごめん、迷惑だよね。忘れて。」


その言葉には朝みたいな明るさはなく弱気な感じがした。榛名君、じゃなくて、夕は勉強も得意かと思ってたけど…。ダメだ、こういうのを世の中は偏見って言うのよね！ダメよ彩！しっかり！！国語ではそういう力も必要なんだ。


「あの…私でよければ…。」

そう言ってみた。少しでも力になれたら嬉しいな。



「ほんとっ！嬉しい。よろしくお願いします！」

すると急に夕の声が明るくなる。



「うまくできるかわかんないけど…」


これも新しい発見ができるかもしれない。よしっ、がんばろっと。


「ごめん、今日は塾があるから今度でいいかな？」


「ん、大丈夫。ありがとね、マジで助かる。」



＊＊＊＊

学校の帰り、秀明に行く途中、私は一際目立つ明るい青のポスターを見かけた。

わあ、夕みたいな色。

ふむふむ、何々？
夏祭りかあ。小学生以来かも、KZのみんなと行けたら楽しいだろうなぁ。でもみんな忙しいもんね…

そんなことを考えていて、ふと時計を見るともう4時半。


わわっ、急がなきゃ！





ーーーー
美門智

夏祭り→←意外？

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す