夏色の君は知っている

夢 ページ23

眠りが浅いと寝てる間に夢見るってよく言うけどそれ本当だと思う。



だってその日、私はすっごく変な夢を見たから。

すぐ眠れなかったからなのかな。





とりあえず気づいたら私はすっごく豪華なドレスを身にまとってて。

王様が座るような椅子に座ってた。





いっぱい周りには召使さんみたいなのがいて。


おもわず「うわぁ」って声出しちゃったくらい。






そしたらね。



ドアがばんって開いて。



なんと。



王子様みたいな恰好をした夕が入ってきたの。



…悔しいことに夕はとってもかっこよかった。




目がキラキラしてて、自信たっぷりな笑顔で歩いてくると。


夕王子私の床に来るとひざまずいてこういったの。






「俺だけの花に、なる気はありませんか？お姫様」





お姫様…


黒木君みたいなセリフ。


いつもの夕とは違うからなのかな。


絶対今顔赤くなってる。





でも次の瞬間。


またもやドアが開いて。


やっぱり王子みたいな恰好をした上杉君が飛び出してきた。




そして夕を蹴り飛ばすと私の手を取ってこういったの。



「俺は彩が好きだ！


俺は誰よりもお前を見て来た。

ずっと好きだった。


あんなやつだけには絶対まけねー。


だから…だから俺にしろよ。

ぜってー後悔させねーから。」




そして…


ここからが驚くことに。



上杉君がキスしてきたの。


私に。



とっても優しいキスで



でも本当にリアルで。



とってもびっくりした。




でも。



その唇を振り払おうと思わなかったことだけは鮮明に覚えていた。




次の瞬間。




無機質な目覚まし時計の音が鳴り響く。


時計に手を伸ばし、音を消すとぼんやりと現実世界に意識が戻ってきた。




んん…すっごくねむい。



とてつもなく眠い。


瞼が糊付けされたように目が空かない。





でも…起きなきゃ。


一回遅く起きると起きられなくなっちゃうから…



今何時だろ？



時計を手探りで手繰り寄せ無理やり目をこじ開ける。


見ると時計は８：００を指していた。





…もう８時。



早い…





時計を放り投げると寝返りを打つ。



それと同時に深いため息をついた。




あーあもっと寝たいなぁ。



変な夢見たから眠すぎるよ…



夢を思い出して顔が熱くなる。




なんで。


なんであんな夢見たんだろ。


なんで私上杉君とキスしたの？

振り払おうと思わなかったの？



なんで…私




みんなのこと平等に好きなんじゃなかったの…？

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