夏色の君は知っている

世界の彩り ページ21

もう、無理。。。。

枕の上にきれいな丸ができて、そこだけ、色が、一段と濃くなっていた。

何時間たったのだろうか。

息が。。。出来ない。。。。




「もぉーーーー、なんで！なんで。。。。な」

そういいながら、ベッドをビシバシと殴った。




「最高な。。。」




最高な一日になるはずだったのに。


素晴らしい夢物語であるはずだったのに。


すべてが。

すべてが。。。。。




上杉くんと夏祭りにいくのも。

二人で笑いあって、わたあめを食べるのも。

学校で、「友達」と呼べる人が一人増えたのも。

KZの皆で、事件を解決するのも。

KZの皆で、笑って、喧嘩して、怒って、楽しんで。


　





。。。。。。告白されるのも



上杉くんや、夕みたいな、人気者に、告白されることなんて






乙女の、夢。




であるはずだった。




でも、違ったんだ。


あの、ドキドキする気持ちが。
ハラハラする気持ちが。
今にも、爆発しそうな気持ちが。




すべてを、壊すんだ。






上杉くんは、絶対に、私を幸せにしてくれる。

その確信は、あるの。

上杉くんと付き合えば、私の人生はすっごい輝き出すと思う。

すべてがキラキラし始めて。


でも、それと同時に。


輝きだけを残して、世界の彩りが、消えちゃうんだ。

KZの皆もきっとバラバラになって。

夕とも、関係が崩れて。

KZが。。。。

私の、生き甲斐が。。。


「そんなの、絶対にいやっ！」



皆、大好き、じゃ、ダメなの？



「彩？降りておいでー！夕って子が来てるわよー」


う、一番会いたくなかった人が。。。。


一体、なんのよう。。。



こんな顔して、どこにも行けない。。。。！


「彩！？早くしなさい！」


「は、はーい」


かすれた声を振り絞って返す。



重い足元を運んで玄関の戸を開けると



そこに立っていたのは、上杉くんがくれたヨーヨーを持った夕だった。


「あ、あの、これ。。。。あいつがお前にあ」


「誰が、あいつ、だよ。」

う、上杉くん。。。

いつの間に。。。。


「お、お前。。。。」

「なにしに来たんだよ、帰れよ。」

「はあ？ じゃあお前はなんなんだよ」



「もうそろそろ、やめろよ。」



「。。。。は？」



「やめろってんだよ。」




「なにいってんだよ」









「俺が。。。俺はなあ、何年間も、本気で、本気でだ！お前なんかに。」




「ねぇ、二人とも！ 私。。。」


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黒木玲奈

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