夏色の君は知っている

事件？ ページ8

夕はなんていうか変なふうに空気を読めない。
いつもは大丈夫なんだけどね。


たまーにうん、ダメなんだよね。



だからたぶん私が今はダメオーラを出してたのも気づけなかったんだと思う。


無邪気な笑顔を向けこちらに向かってきた。



「彩も周明なんだ？俺も塾行かなくちゃでさ、見学に来てみたんだけど…ってあれ？」


いまさら夕は若武たちの存在に気づいたみたいだった。


「友達？」

私が後ろを振り返ると視界に入ったのは固まる若武と唖然としている小塚くん。

そして驚いたように目を見張る上杉君とちょっと眉を上げている黒木君だった。


忍と翼は夕のこと知ってたから普通にしてたけど翼の顔はちょっと怪訝そうだった。



「あ、えーと」

私はいそいで夕の横に行くと夕のほうを手で示して

「榛名夕くん。この前浜田に転校してきて、私たちのクラスに入ったの。一緒に学級委員してるんだ。」

と口早にみんなに言った。


そして夕に向かってみんながいるテーブルをさしながら簡単にメンバーを紹介する。

「私探偵チームをここのみんなと作ってるの。右から上杉和典君、黒木貴和君、若武和臣君、小塚和彦君。あとは同じクラスにもいる翼と忍だよ。」



忍と小塚君はかろうじて会釈したけどほかのみんなは全く動かず…
ちょ、ちょっとみんなどうしたの？


でもそんなことを気にすることもなく夕は急に何かを考え始めた。

そして夕はぽんっと手を打ち衝撃の一言をっ！



「ああ、翼ってあれか。


もしかしてお前も彩に気があるの？」




えええ！
な、何言ってるの！？


まさかの一言に今度は誰もが固まった。



でも私の心臓は超加速っ！



気がある？

って好きってこと？


いやいや、それは絶対に…
勘違いだよね、うん！



そんなことを思っているのと若武がばんっと立ち上がるのが同時だった。


「おい。何、人に向かって言ってんだよ。失礼だろうが。」


うっ、若干切れ気味…

はらはらしながら見ていると今度は翼が立ち上がった。


「そうだよ。しかもずっとアーヤといるし。」

「…は？お前立花の了解得ていっしょにいんの？」


俺らは塾でもダメなのに？とでも言いたそうな表情の上杉君。

「てかお前「も」ってなに？」



ああ、喧嘩は…

とでも言いたいけど！


さっきからなに？！
また私のこと女子扱いして！

っていうか私と夕がどんな関係かなんて若武たちには関係ないでしょ！？

夕が可哀そうだよ！



「あのさぁ！」


＿＿＿＿＿

上杉奏

知らないから→←反乱の予感

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す