ゾル家の眠り姫2【イルミ】 (ページ2)

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そういえば、私がこの部屋にいることも知っていた

弟達は私の部屋ではなく、真っすぐこの部屋に来た

イルミはどこかから私を見ている

大人になってから、かくれんぼをすることになるとは

Aは2人の弟たちの頭をなでると、まっすぐ地下室の道を歩く

行先は勿論

『これを5分で

増やせるだけ増やして』

「かしこまりました、お嬢様」

出来上がったクナイの切れ味は最高だ

少しでも掠めれば綺麗に切れるだろう

体に刺さりでもすれば程よく肉を切る

受け取ったクナイを体中に仕込むと、部屋を出た

イルミの愛用している武器は針

長めの針だが、イルミの力で投げれば一瞬で頭蓋骨を貫通し、脳まで届く

その信号をオーラで操るわけだ

それはとても繊細な技術

彼以外にはなかなか真似できない

対して私の能力は、家族には使用できない

彼の腰の入れようにもよるだろうが、

こちらも本気を出さなければ最悪死ぬことだってある

まずは彼を見つけなければ

静かな廊下にコツコツと靴の音が響く

・・・先ほどから妙な違和感がある

見慣れないカメラが数代

テントウムシ程度の小さなもので、性能は恐らくそこまでいいものではない

つまり、ミルキの作品ではないだろう

家で使用していモノはミルキが作った高性能のものだけだ

母さんの目にもつながっていて、家をくまなく監視できるようになっている

恐らく、イルミも同じ要領で私を避けているのだ

『道理で会えないわけね』

少し、腹が立った

怒っているのなら、もっとわかりやすく伝えればいいものを

―――パキッ

一つ、カメラを握りつぶした

―――――イルミside

「Aはオレの部屋にいるから」

弟たちに伝言を頼むと、小走りで部屋に向かった

親父不在の玉座に寄り掛かり、画面の向こうの片割れを眺める

「あれ？怒ったかなー」

カメラを細かく切り替え、彼女の表情を追うがあまり性能のいいカメラとは言えない

細かい表情など見えるはずもなく

しかし、その歩き方は少し乱雑に見える

「怒ってるのはオレの方だったんだけどな」

彼女は地下室から出ると、カメラの一つを見つめ、

壊した

「バレちゃったか」

カメラがあることがバレたのなら、いずれこの部屋にも来るだろう

「流石Aだね

ほとんど気配がない」

ノートパソコンを閉じると外へ出た

―――まだ、遊んでいよう

その間は、オレの事しか頭にないでしょ？