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おかしい


両親も弟達も、イルミに会っているようだ



つまり、家の敷地内にいる



なのに、私だけが彼に会えないのだ


朝、地下室の人形を見に行って


アルカと遊んでクナイという忍びの国で使われる凶器をもらった


それをイルミに見せたくて家中を探し回っているのだが


不思議とその姿はない


珍しく朝食を摂ったらしい彼


オフの日は一緒にいるのが私たちの日課なのに


その姿がないだけでこうも不安になる


『まさか、外に行ったことがそんなに嫌だった?』


今までも「ダメ」と言われたことを平然とやってのけたことはあった


少し機嫌は悪くなるけど、ちょっとしたお仕置きや拷問で事は済んでいたはずだ


イルミの部屋にいれば、夜にはあえるだろうか



近くにいるはずなのに会えないというのは、少し寂しい




―――コンコン




物音ひとつないその部屋に


イルミの部屋の扉をノックする音が響いた


誰か、彼に用でもあるのだろうか


「Aお姉様、イルミお兄様から伝言です」


『・・・伝言?』


扉を開けるとそこには美しい着物を着た末っ子カルトの姿


私たちには仕事用のピッチ以外に、プライベート用の携帯電話がある


勿論、姿が見えなくなったその時に電話をしたのだが


どうやら電源が落ちているようで繋がらなかった


『声が、聴きたかった』


ポロっとこぼれた言葉


彼には、届いているだろうか




「”A、そこにいてもオレは見つからないよ


オレが逃げ切るか


Aがオレを捕まえるか


オレを捕まえられれば、昨日の外出はなかったことにしてあげる”


だ、そうです」


カルトは心配そうな表情でこちらを見つめる


『カルト、イルミの様子は?』


「朝は怒っていた気がします・・・


でも、今はもう怒っている様子ではありませんでいた」


怒ってはいない


でも、私の前に姿を現す気はない


私はイルミを捕まえる


イルミは私から逃げる


なんだか、昔やった鬼ごっこの訓練のようだ


武器使用可


相手を捕まえられれば勝利


そして交代


それがひたすらに続く


狩るモノと狩られるモノの訓練


『きっと、ルールはそれだけじゃない』


「なあ、姉ちゃん何したんだよ」


カルトの後ろに大きな影が映る


今度はミルキだ


「イル兄から電話が来たんだけどさ


”面白そうだから、その武器使ってみなよ”って」


思い当たるのはクナイだ


見せようと手に持って歩いていたところをみられたのだろう

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作者名:みこ | 作成日時:2022年7月12日 12時

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