過去2(視点:夢主) ページ34
そこからの記憶は今でも鮮明に覚えてる。
ホルマリンの瓶一つ一つに家族の名前と身体の部位が記入されて、棚に並んでた。
私が派遣先で敵をバラバラにしていたとき、家族は信じた国にバラバラにされていた。
暴れたよ。大暴れ。邪魔するものを叩きのめして研究所の中にある“家族を”集めに集めた。
私は家族のために手を汚した。大人から子供まで容赦なかった。隣で仲間が吹き飛ぶのを見ても、銃弾の嵐のなかを駆け抜けたのも、内臓を抉られても死ぬ気で生き延びる努力をしたのは家族のためだった。家族に会うためだったのに…。
私を騙した全ての奴らを家族と同じ目に合わせてやろうと思った。戦闘能力が高く、本気で止めるなら相討ち覚悟じゃないと止まらないほどそのときの私は強かった。自分で言うのもあれだけど。
セコい政府は私を相手にすればこれまで手塩にかけて育てた他の戦闘員まで失うことを恐れたんだよ。
“家族を返す。帰ってくれ。”
自分勝手で利用するだけ利用して、手に追えなくなると私の死を望む。吐き気がした。
だから、誓ったんだよ。
何がなんでも1人で生き抜いて、この政府が倒れるのを見てやろうって!こんなやり方、絶対続かない。全てにおいて優れている新人類がいつまでも黙って従うはずかない。倒れるその瞬間にざまぁみろ!って叫んでやるって。
『と、まあ、こんな感じの話なんだけど、ついてこれてるか?』
五・夏『……。』
『一度大切な人を失ったときの痛みを知るとね、今度は次が怖くなる。その恐怖に負けて、今までずっと1人で生きてきた。逃げてたんだよ。その痛みから。誰のために命を懸けて戦うのか分からなくなって、軍人をやめたんだ。私はね逃げたんだよ。理由がないと痛みに耐えられない、ただの臆病者だった。冷たいやつだよ。私は。』
夏『…。違う。違うよ!貴女は臆病者なんかじゃない。それが正常な反応だ。』
五『ああ。俺らのこと助けてくれたじゃん。なんのメリットもねぇのに。自分で気づいてないの?自分がどんだけ優しいやつか。』
『そんな風に言ってくれて嬉しいよ。それにね、今は少し違うんだよ。君達はこちらの世界とやらに飛ばされてきてからずっと互いの心配をしてるよね。そして信頼し合ってる。君達は達観しているようであどけない、完全なようで不完全な不思議な存在。でも、ひとつ言えるのは相手のためなら命をかける覚悟がある。違ったらごめんね。戦う理由が側にいる。それがうらやましい。』
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Wolf(プロフ) - 了解です!これからも頑張ってください💪 (2022年1月18日 10時) (レス) id: d08657ee4c (このIDを非表示/違反報告)
福井影(プロフ) - Wolfさん、リンクをつけましたので、続きもぜひ楽しんでいただきたいです!ありがとうございます。 (2022年1月18日 1時) (レス) id: 3c05e4da9a (このIDを非表示/違反報告)
福井影(プロフ) - Wolfさん、コメントありがとうございます。実は続きがありますが、私が初心者なためリンクがうまくいってないようです。お手数ですが、同一作者作品を見ていただければわかると思います。作品初のコメント本当に嬉しいです。楽しんでいただけるよう、頑張ります! (2022年1月18日 1時) (レス) id: 3c05e4da9a (このIDを非表示/違反報告)
Wolf(プロフ) - 続きが気になる……投稿待ってます! (2022年1月17日 23時) (レス) id: d08657ee4c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:u-ruru | 作成日時:2022年1月10日 16時