44 情けない。 ページ45
先輩side
*
「ぷ、くくくく…」
「…おい。
いい加減にやめてくれ…」
僕はついさっきからずっと、
こいつに笑われ続けている。
「だ、だって先輩…ッ!
すんごい、女の子みたいだったんですもの…!!」
もうすぐ笑い転げるのではないかというくらい、笑われている。
なんとも悲しい。
そう、俺はジェットコースターに乗った。
乗ったはいいものの、そこからが問題だったのだ。
まず、ぐんぐんと登るジェットコースターに恐れ、Aの手を握った。
次、悲鳴をあげた。それがA曰く女子のように可愛い声だったらしい。
自負してないが。
三、おりて涙がこぼれた。Aによしよしされた。
辛かった。
(もういやほんと…こいつ笑いすぎだし…)
もう苦笑いしかできない。
そういえばジェットコースターに乗っていたときも、Aはずっと笑っていた気がする。
Aを見ると、
さっきまでの笑いとは違う、笑顔だった。
「…ありがとうございます、先輩」
「………ん?」
「わざと私に何も聞かないでくれて、無理してジェットコースターにまで乗ってくれて。」
(………え、)
__ばれてたのか。
「………かっこ悪すぎだろ俺…」
「ッ!そんなことないです!!
本当に…嬉しかったですから」
そんな、嬉しそうな顔をされてしまったら、
(……何も、言えないだろーが)
「__……実はですね、」
Aがゆっくりと、
一つ一つを思い出すように語り出す。
「離婚してるんですよ、うちの両親。
親のけんか…っていうのか、いざこざが原因で。
あ、もうずっと前の話なんですけどね?」
なんと声をかければいいのか、
そもそもかけないほうがいいのか。
こんなことで悩む情けない僕に、Aは誤魔化すように笑う。
「そんな父と母を見てるのが嫌で、でも暗い顔してたら父に『しんきくさい顔すんな』って言われちゃうので…
ずっと、笑ってたんです」
Aが、こんなに自分の話をしてくれるのは初めてで。
辛い話をしてくれているのに、
ほっとする自分はどうなんだろう。
「じゃあ、その、父が家を出てくときに……
最後までお前は何 考えてんのかわからないな、って。」
はは、と笑う彼女を、
笑わせないように
何も言わせないように、抱きしめた。
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ねこの鈴(プロフ) - サクラさん» ご提案ありがとうございます(^_^)考えてみます! (2019年1月9日 0時) (レス) id: 584a944f31 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ - その後話がほしいです! (2017年12月19日 20時) (レス) id: 82bd22f655 (このIDを非表示/違反報告)
ねこの鈴(プロフ) - 名無しさん» おぉぉありがとうございます!がんばります!! (2017年7月5日 18時) (レス) id: d39605c9e5 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - チョロ松可愛い!天使かよ!?これからも頑張ってください! (2017年7月5日 0時) (レス) id: d73813ddeb (このIDを非表示/違反報告)
ねこの鈴(プロフ) - No.7 クラゲ松さん» 私も〜愛してますよチョロ松ぅ〜ありがとうございます〜!/// (2017年6月21日 22時) (レス) id: d39605c9e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ねこの鈴 | 作成日時:2016年4月4日 16時