【マギ】神出鬼没なマギ4.〜アルマトラン編.後編〜

第190夜 未来を恐れる追放者 ページ43

「…っ!!」



めちゃくちゃにしてやろうと思った。
僕の隊員を死に追いやったあいつらを。


許せない…!!
お腹に子どもだっていたのに、名前もまだ決まってなかったのに!!


なのに、そう思ってるのは確かなのに。



「でき、ないよ…」


僕がこんなことしたら大勢が傷つくよ?
死人だってでるよ?









ダメだ、流されちゃ、ダメだ。


感情任せに力を使っちゃダメだ。
耐えろ、耐えろ。



世界の荒波に流されちゃダメだ。









振り下ろした神杖をギリッと握り締める。
基地からは歓声がまだ聞こえるなか、
ぺたん…と再び腰をおろす。



「いいよね君たちは!! 世界の破滅へ真っしぐらなのに呑気に式典なんかあげちゃってさ!!」



彼らには届かない痛烈な声。
飛び回るルフだけがピィ…と悲しそうに応えてくれた。




「うっ…、ひっく」


感情的になったから今までの不安や悔しさが表にでてきたのだろうか。


「うぅ…、あっ…うっ」


また僕の頬を涙が伝っていった。



ーー


そんな、さまざまな感情が入り混じる式典から3日が経った。



大陸の裂け目に行って、そこからイステカ大陸に渡ってレイメスに会いに行こう…。



「会いに…行く?」


どんな顔して会えばいいのだろうか。
たくさんの温もりをくれて、僕のことを遠く離れた地から応援してくれた彼。


そんな彼に、追放されました、なんて言えるはずない。



とぼとぼと、歩いていた足が止まる。
その場にしゃがみ込めば、目の前に1匹のルフが。


ふらふらと、少し疲れたように飛ぶルフが何だか面白くて。



「ふふっ、なぁ〜に? 疲れちゃったの?」



す…っと両手を揃えれば、待ってましたと言わんばかりに乗っかる。



「ねぇ、僕さ…。間違えちゃったのかな?」



僕の手で休むルフに聞いてみる。



「僕がレジスタンスを作らなければよかった? ソロモンにリーダーの座を譲らなければよかった? 僕が彼らを隊員に誘わなかったら死ななかったかな?」



ーピィ…ー
(でも、Aがしなかったら世界は腐敗したままだったよ)



「たくさん、選択肢あったのにね。間違えちゃった…。何か、怖くなってきちゃうな」


ーピィ!!ー
(未来を恐れないで!!)



必死になるルフを肩に乗せて、また歩きだす。


レイメスに会うかどうかは後から考えよう。
まずは大陸の裂け目に行く!!
セバスチャンが元気か見る!!



そんな決意の先で…。



「やぁ! やっと見つけたよA」




目の前に現れたのはアルバだった。

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