【マギ】神出鬼没なマギ4.〜アルマトラン編.後編〜

第181夜 再生と終焉の歯車 ページ34

「A様なら大丈夫です!!! いつも乗り越えてきたじゃないですか」

「胸はないけど度胸はあるんですから!!」

「胸ないとか言うな」


グイグイ押されて王宮へと行かされ。
とうとう扉へと続く階段の前まで来てしまった…。

あぁ、嫌だよ〜。階段を上がりたくないよ〜。
でもここまで来たら覚悟を決めるしかない!!
勇気を振り絞って扉を叩け僕!!

ドンドンドン!!!


「シバ〜。ソロモンに資料を渡しに来たんだけど…」


シーン…。


「お話しよう? 皆の声を聞いて反映してあげなきゃ。このままだと独裁政治になるよ?」


暫く待っても出てくる気配が無かったから、今日のところは引こうとした時だった…。


「貴女までそんな事を言うの?」


重い扉から出てきたのはシバ。
髪も前に比べたら整ってないし、何より目付きが怖くなった…。


「言わなきゃ気付かないでしょ?」

「貴女はソロモンの味方だと思っていたのに」

「味方って事は敵もいるってことだよね? 平等を散々ソロモンの隣で言っておきながら君は同志を区別してるって事だよ?」



彼女はまだ若い。

でもね、シバ。

人の上に立つのに若さなんて未熟さなんて関係ないんだよ。

知りませんでした、じゃ済まないんだよ。



「資料だけ置いて帰って」

「無理。これは直接渡さなきゃいけないやつだから、誰かの介入は許されてない」

「これは命令よA!!」



バッと手元から資料が奪われる。



「貴女にソロモンの何がわかるって言うの!!」

「ソロモンとは長い付き合いなんだ。君と知り合う前からずっと一緒に生きてきた。彼の思いや考えなんて離れてても分かる」

「黙りなさい!! 7年前、貴女がダビデに敗れなければ!!ソロモンが王へと押し上げられることもなかった!!」

「それを言うのは卑怯だよ、シバ」

「黙りなさいと言ってるの!! もう帰ってA、命令よ!!」



バタンッ!!!

勢いよく閉められた扉からの風にふわっと前髪が揺らめく。



やっぱり、ちゃんとした場は設けてくれないのか。1人で突っ走って、君はこれからどうするつもりなの?



「やっぱりダメだったか」

「ごめんねイスナーン」


すると、何故だか二カッと笑う彼。


「何言ってんだよ。俺たちの不安を正面から言ったんだぞお前。すげーよ!!! さすがだな!!!」

「すらすらと筋の通ってることを言うのがAアルよ」

「ガハハハ!!! やるのぉ〜」







世界の歯車が動きだす。
それは再生か終焉か。
誰も分からないまま今日も世界で息をする。

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