第176夜 紡ぐ声は別れの言葉 ページ29
「や、やめなよ2人とも!!」
殺伐とした僕らにウーゴが声を荒げる。
ねぇソロモン。
少なくともここにいる3人は君の行動を止めようと動かないね。
「やめない」
あぁ。
僕は今、世界の王に手をあげようとしている。
この光る神杖を振り上げ親友の君を殺ろうとしている。
「レジスタンスの初代リーダーは僕だ!! 一切の責任は僕にある!!」
このことを知らないシバにウーゴが簡単に説明をする。
「やめてくれA、お前とは死んでも戦いたくない!!」
「僕は死んでも戦ってやる!! 誰も君を止めようとしないなら僕が立ち塞いでやる!!」
神杖を振りかざせばガキンッと防がれる。
「Aやめて!! ソロモンの傷はまだ癒えてないのよ!! 死んじゃうよ!!」
振動が負った傷に響くのだろう。彼の額から嫌な汗が垂れる。
「レイメスが言ったんだ、歴史は繰り返すって。良いことも悪いことも駆け巡るって。こんな未来にしないために何処かで遮断しなきゃいけない」
「…」
「君のお父さんが神様になって、その息子である君も神様になろうとしている」
ぶつかり合った神杖を互いが押すためカタカタと震え始める。
「神様になるくらいなら今ここで死んで…。同じ未来を歴史を繰り返そうとするなら君に死んでほしいよ僕は!!」
そして渾身の力を込めた一撃を当てようと振りかざした時だった。
「…っ!?」
先ほど抜け出した触手が腰に巻き付き、グイッと勢いよく引っ張られソロモンから遠ざけられる。
まるで、彼が神様になることを邪魔するなとでもいうような行動。
そして慰めるかのように頭を撫で始める。
動きの一つ一つがダビデにされてるようで嫌になる…!!
おとずれる暫しの静寂の後。
何もなかったように、落ち着いた口調で彼は言うのだ。
「シバ、お前はいつも俺を一番理解してくれた」
「ウーゴ、おまえがいれば、どんな破壊の時代にも創造をもたらすだろう」
「アルバ、おまえのことは一番信頼していた。これからも俺をいさめ、力を尽くせ」
そして最後に僕の方に正面から向き直る。
「A、おまえは…。特にない」
「…、はぁ!?」
おい待て何だそれ!! ない訳ないだろ。
よく思い出せ!!
そしてグッと力を込め、ダビデという名の父と同じ道を歩もうとするソロモン。
「ねぇ待って!! いろいろと待て!!!!」
手にしていた神杖を彼に向けて思いっきり投げるが…。
スッ…。
白いルフとなってしまった身体をすり抜けて当たることはなかった。
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千年彗星(プロフ) - 夢雪さん» 読んでいただきありがとうございます! そして泣いてくださるなんて…! アルマトラン編を好きと言ってもらえて嬉しいです、ありがとうございます! (2018年3月25日 20時) (レス) id: c15a2aa7e8 (このIDを非表示/違反報告)
夢雪 - 悲しすぎるです!(´;ω;`)ウッ…すごく泣きました。無意識に気づいたら泣いてました。アルマトラン編私好きです。 (2018年3月25日 16時) (レス) id: a2e26e90a4 (このIDを非表示/違反報告)
千年彗星(プロフ) - ティナさん» だいぶ落ち着いてきました(*^^*) 声をかけてくださり感謝感謝です!! それに加え何回も見てくださってるとは…!! ゴールデンウィークあたりにはできると思うのでそれまで待っていてくださると嬉しいです(*^^*) (2017年4月28日 12時) (レス) id: 5483d583eb (このIDを非表示/違反報告)
ティナ(プロフ) - お久しぶりです! 落ち着いてきましたか? 何回も繰り返し見てます! 更新楽しみにしてます! (2017年4月27日 21時) (レス) id: c9a6aed029 (このIDを非表示/違反報告)
千年彗星(プロフ) - マロンクリームさん» コメントありがとうございます!! だんだん落ち着いてきたので更新もそろそろできると思います! これからもよろしくお願いします(*^^*) (2017年4月23日 0時) (レス) id: 5483d583eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:千年彗星 | 作成日時:2016年6月25日 22時