第108夜 長年の恋 ページ10
日が傾き、夜の闇に世界が呑み込まれる。
昼間の太陽は人々を照らし前へと進ませる光の番人。
夜の月は優しく人々を見守り太陽を陰ながら支える闇の番人。
「A、やっと見つけた」
担当地区の建造物の上に腰を下ろし、星の群れを眺めていた僕の隣にソロモンが腰を下ろす。
「ここまで登って来るなんてさっすが!!」
「まだ俺も若いって事だな」
若いって君。あと数年したら三十路だぞ僕等。
若い若いとか言って余裕ぶってる暇ないぞ。
「この地区、随分変わったな。お前のおかげだ。ありがとうA」
「いやーー!!ソロモンが僕にお礼言った!!何か不吉なことが…」
「お前俺を何だと思ってんだよ!!」
バシっと彼が僕の頭を叩く。あー、痛い痛い。
幼気な少女の頭を叩くなんて…!!
その後2人の間に流れる静かな時間。
他の人からしたら、何の変哲もない時間。
けれど…、
「久々だな…」
「ん?ゆっくりするのが?最近忙しかったもんね〜」
そんな何の変哲もない時間がとてもありがたく感じる。
ここ最近は統制や地区ごとの問題解決などで沢山のところに駆り出されていた僕等2人。
後から考えればソロモンと会えない時もあったな、うん。3日間会えなかった時は死んだかと思った僕がいたわ。
「ちげーよ」
「何が」
すると僕から目を逸らし、立て膝の上に頬杖をつくソロモン。暗くて表情はよく見えなかったけれど、軽く息を吐いたあとチラっと一瞬。
ほんの一瞬こちらに視線を向けまた戻すソロモン。
「2人きりで過ごすのが久々だって言ってんだよ…」
サァァ…と夜風が吹き、彼の髪色と僕の髪色が視界に入る。
「ほら、あれだあれ!!グヌードに居た時とか、皆で旅してる時は作戦練ったりで2人きりとかあっただろ!!それと比べてだ!!」
「何焦ってんの、あはは!!」
そして何を思ったか急に立ち上がり僕の肩をガッと掴む。
「…どしたの?」
「こっ…こん…」
「こん?鳴き真似?」
「こんな所にゴミついてたぞ、とってやったからな!!」
そしてスタスタとその場を後にするソロモン。
そのまま夜の街へ消えて行った。
「ソロモン、また誘うの失敗したの?」
「うるせーぞ、ウーゴ」
「こんな遅くに俺の部屋に来て。いい報告かと思ったんだけどな」
「あいつと居ると調子狂うんだよ」
「Aに片想いして何年経つのさ。早く思い伝えないと取られちゃうよ?」
「うるせ〜、分かってるよ」
時に。
光は闇に恋心を抱くことも。
第109夜 新しき仲間→←第107夜 世界はそれを宝石と呼ぶ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 297人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
千年彗星(プロフ) - 青鷺さん» コメントありがとうございます!! 小説共々、頑張っていくので今後ともよろしくお願いします(*^^*) (2016年6月28日 6時) (
レス) id: 45d0ac0ce9 (このIDを非表示/違反報告)
千年彗星(プロフ) - マリーネさん» コメント感謝です(*^^*) 読者さまが楽しんでいただけたら幸いです! 今後ともよろしくお願いします!! (2016年6月28日 6時) (レス) id: 45d0ac0ce9 (このIDを非表示/違反報告)
青鷺(プロフ) - 千年彗星さん» 小説もだけど、受験頑張ってください！！！勉強？なにそれおいしいの？ (2016年6月28日 6時) (レス) id: cb35208076 (このIDを非表示/違反報告)
マリーネ(プロフ) - むっか〜。シンドバッドむっか〜。 (2016年6月28日 4時) (レス) id: 252b10e98a (このIDを非表示/違反報告)
千年彗星(プロフ) - きゅーちゃんさん» 好きと言っていただきありがとうございます!! 今後ともこの小説をよろしくお願いします(*^^*) (2016年5月2日 17時) (レス) id: 113143dc1c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：千年彗星 | 作成日時：2015年8月1日 13時
