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第139夜 もう少しだけ、この時を ページ41

ソロモンと2人、静かな砂浜を競争する。

「うぉぉお!楽しいけど身体がー!!」

「まてA!!そんな激しい運動はするな!!」

靴を脱ぎ捨て裸足で駆け抜ける。同じくソロモンも僕を止めようと必死になっている訳で。

「身体を動かしたいんだよー!!基地にいると怒られるから!!」

「当たり前だろ!!骨が何本も折れた奴を野放しになんてするバカなんていねー!」

砂浜で走ると、何時ものように軽々と走れなくて。砂だから蹴る力が上手く反映されないのだ。

「いい加減にしろ!!止まれ!!」

「ははっ!!止めてみろーー!!」

ソロモンに捕まらないように必死になって駆け抜ける。

絶対に捕まってやるものか!! このまま逃げて逃げて世界の片隅にでも隠れてやる!

しかし、そんな事を思った次の瞬間。

「おりゃっ!!」

「うわぁ!!」

後ろからソロモンに飛びつかれ、そのまま白い砂浜へ倒れ込む。

「はぁ…。やっと捕まえたぞ」

隣を見れば疲れ気味のソロモンが。その顔には白い砂が所々ついていて。

「捕まってしまった〜」

なんて言いながら手でその砂を払ってあげる。

んも〜、ダイナミックに顔から突っ込むから〜。もっと止め方が他にもあっただろ!!

「はい、取れた!!」

「あぁ、ありがとう」

そしてそのまま砂浜の上で仰向きになる。
空にはまだ星があって。でも、その輝きも少し薄らいできていた。

「夜明けだね、ソロモン」

「…あぁ」

そのままギュッと抱きしめられる。彼の胸板が視界を邪魔して、朝日の光はほぼ見えない。

「少しだけ。あと少しだけこうしてたい…」

それはまるで。
夜が明けるなと言っているように聞こえて。

「でも、時は待ってはくれないよ?」

「あぁ。分かってるよ…」

今まで宙を彷徨っていた手をソロモンの背中に置く。すると、それに応えるようにさらに抱きしめてくる彼。

「ソロモン、地平線からの朝日ってとても綺麗なんだよ」

少し身動きをし、彼の肩越しから顔を出す。
するとちょうど地平線から顔を覗かせるそれが目に映る。

「綺麗だね」

「真っ白な太陽だな」

その言葉に思わずソロモンの方を見ると目が合う。

「真っ黒な太陽なんてあるの?」

「そんなもん無いに決まってんだろ」

そういうとソロモンに抱きしめられ、再び光が見えなくなる。

「なぁ、A」

「ん?」

「もう少しだけ、こうしてたい…」

「少しだけだからね…」






そう言いつつも。

互いの体温が、心音が心地良くて。

白い砂浜の上、抱きしめ合いながら夢の中へ。

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千年彗星(プロフ) - 青鷺さん» コメントありがとうございます!! 小説共々、頑張っていくので今後ともよろしくお願いします(*^^*) (2016年6月28日 6時) (レス) id: 45d0ac0ce9 (このIDを非表示/違反報告)
千年彗星(プロフ) - マリーネさん» コメント感謝です(*^^*) 読者さまが楽しんでいただけたら幸いです! 今後ともよろしくお願いします!! (2016年6月28日 6時) (レス) id: 45d0ac0ce9 (このIDを非表示/違反報告)
青鷺(プロフ) - 千年彗星さん» 小説もだけど、受験頑張ってください!!!勉強?なにそれおいしいの? (2016年6月28日 6時) (レス) id: cb35208076 (このIDを非表示/違反報告)
マリーネ(プロフ) - むっか〜。シンドバッドむっか〜。 (2016年6月28日 4時) (レス) id: 252b10e98a (このIDを非表示/違反報告)
千年彗星(プロフ) - きゅーちゃんさん» 好きと言っていただきありがとうございます!! 今後ともこの小説をよろしくお願いします(*^^*) (2016年5月2日 17時) (レス) id: 113143dc1c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:千年彗星 | 作成日時:2015年8月1日 13時

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