第135夜 友の声に導かれ ページ37
暗い暗い闇の中を抜け目を覚ます。
横たわる身体を起こし見渡すも、そこは基地ではなくとある空間だった。
「もう、ここに来てはいけないと以前言ったことを忘れてしまったのか?」
ぽんぽんと後ろから優しく頭を撫でられる。けれど、それは人の手ではなく。しかし嫌な感じはしなかった。
以前?前にも来たことがあるって事?でもいつ。
こんな空間に?
撫でられるそれに触れ振り返る。
「久しぶりだなA」
そこには無数の触手を持ち、その一つを僕の頭に乗せるものが。
あ、待って。これ知ってる。見たことある。
グヌードに居る時だったよ。
「昔、お前が自ら命を絶とうとした時に会ったではないか」
思い出すのは過去の事。ソロモンと仲良くなって暫く。自分の存在に耐えられなくなって階段から転げ落ちたんだ。
「また、助けてくれたの?」
「あぁ、助けたよ」
あの時も君に会ったよね。仲間のもとへ帰りなさいって言われた。
「さて、A。お前はまだ死んではない。死んでない者は本当は立ち入ってはダメなんだぞ、ここには」
頭に流れ込んでくるその声に叱られる。
「さぁ、帰りなさい」
とんっ…と、背中を押され前に数歩出る。
いや、帰りなさいって。このよく分からない空間の何処へ向かえば帰ることができるの!!
何があったのかさえ覚えてないんだよ僕!!
「お前は今、意識だけがここにある。身体はお前の帰るべき場所にあるぞ」
「そんなこと言われても何処へ行けばいいの」
右を見ても左を見ても果てしなく続く空間。叫んでもきっと、虚しく響くだけなのだろう。
「では、目を閉じてごらん。そして思い出すんだA。お前の歩んできたこれまでを」
言われたとおり目を閉じる。すると不思議と頭に流れてくる過去の事。
『おい!A!大丈夫か!?』
『Aは一人で無茶しすぎアル』
『たまには頼れよ!ガハハハ!!』
『ワヒード。君はもっと品のある笑い方はできないのかい?』
『これくらい大丈夫だよ!!!ほらほら!!』
『あはは。Aらしいや!』
あぁ、これは無茶し怪我した僕を心配してくれた彼等だ。
そして記憶は新しいものへと変わっていき、皆が僕の声を呼ぶ中。
「A!!お前がいなくなったら俺はどうすればいいんだよ!!」
彼の今にも泣きそうな声に思わず目を開けると広がる一筋の光路。
背中を押されその道を駆けていく中。
「あ、名前なに!!」
「そうだな、神様とでも言っておこうか」
大切な友の声に導かれ、再び世界で呼吸する。
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千年彗星(プロフ) - 青鷺さん» コメントありがとうございます!! 小説共々、頑張っていくので今後ともよろしくお願いします(*^^*) (2016年6月28日 6時) (
レス) id: 45d0ac0ce9 (このIDを非表示/違反報告)
千年彗星(プロフ) - マリーネさん» コメント感謝です(*^^*) 読者さまが楽しんでいただけたら幸いです! 今後ともよろしくお願いします!! (2016年6月28日 6時) (レス) id: 45d0ac0ce9 (このIDを非表示/違反報告)
青鷺(プロフ) - 千年彗星さん» 小説もだけど、受験頑張ってください！！！勉強？なにそれおいしいの？ (2016年6月28日 6時) (レス) id: cb35208076 (このIDを非表示/違反報告)
マリーネ(プロフ) - むっか〜。シンドバッドむっか〜。 (2016年6月28日 4時) (レス) id: 252b10e98a (このIDを非表示/違反報告)
千年彗星(プロフ) - きゅーちゃんさん» 好きと言っていただきありがとうございます!! 今後ともこの小説をよろしくお願いします(*^^*) (2016年5月2日 17時) (レス) id: 113143dc1c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：千年彗星 | 作成日時：2015年8月1日 13時
