第118夜 強大な力とかつての友 ページ20
「これで分かっただろう。決してお前らがこうなるからダメだなどと言いたいのではない。だが覚えておけ、小さき者達、そしてA」
抱きしめている力を緩めソロモンの横に立たせる。
「この世界には2人の王候補がいて成り立っているのだ。神にまた失望されるようなことは厳禁だぞ」
「でもそんな事僕達に言われたってその王候補が誰かも分かんないんだから。どうしようもないよね〜、ウーゴ」
「そうだね、せめてその2人が分かれば何とかなるかもしれないけど…」
う〜ん。と3人で悩んでみるが心当たりも無ければ、見当もつかなくて。
これまでグヌードを脱走してばれないように戻って来たりと自由奔放だった僕。けれど、脱走し辿り着いた世界でそれっぽい人は居なかったと思うんだけど…。
「セバスチャンは知らないの?新しい王候補のこと」
すると目を細め少し考えるそぶりをする。それから完全に瞳を閉じると、
「心当たりはあるがな。まぁ、秘密だ」
何だよ〜。その心当たりだけでも教えてくれたらいいのに〜!!
「とにかく、あの物語のように互いを裏切って悲しい思いをするな。相手の事を考えればあのような間違いは2度と起きん」
その言葉を最後に、ソロモンとウーゴは時間だからと言って戻って行った。
一緒に戻ろうとした僕を引き止めたのはセバスチャン。久しぶりに沢山話したいからとさっきから抱きついて離れないのだ。
うーん。さっきから凄い頬擦りしてくる…。
ヒゲが当たって痛いよ…。
「しかし、しばらく見ないうちにまたレイメスに似てきたな。レイメスが女になったみたいだ」
「そうかな?」
僕がまだ小さい頃。皆が寝静まった夜中にグヌードを抜け出した先でレイメスという名の青年に出会った。
『お?こんな所に1人で何やってんだ?』
『脱走ついでに旅』
『はははっ!じゃあそれに俺も混ぜて貰おうかな』
脱走を叱るでもなく笑い飛ばし、旅を一緒にしてくれたのだ。
「おそらくお前はレイメスに似ているから目を付けられているのだ。ダビデはレイメスに会いたがっている。謝り再び友に戻りたいのか、それとも強大な力を手にしようとし、その鍵が彼にあるかもしれないからなのか」
そう言った後、優しく僕を抱きしめる。
「彼はまだ生きてるもんね。ダビデ老も何処かでそれを知ったんだ」
「レイメスは私の友だ。そしてお前も。私はあの日友を失いかけた。あの心が張り裂けそうな気持ちは2度としたくはない」
そう言うとまた、優しく強く僕を抱きしめた。
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千年彗星(プロフ) - 青鷺さん» コメントありがとうございます!! 小説共々、頑張っていくので今後ともよろしくお願いします(*^^*) (2016年6月28日 6時) (レス) id: 45d0ac0ce9 (このIDを非表示/違反報告)
千年彗星(プロフ) - マリーネさん» コメント感謝です(*^^*) 読者さまが楽しんでいただけたら幸いです! 今後ともよろしくお願いします!! (2016年6月28日 6時) (レス) id: 45d0ac0ce9 (このIDを非表示/違反報告)
青鷺(プロフ) - 千年彗星さん» 小説もだけど、受験頑張ってください!!!勉強?なにそれおいしいの? (2016年6月28日 6時) (レス) id: cb35208076 (このIDを非表示/違反報告)
マリーネ(プロフ) - むっか〜。シンドバッドむっか〜。 (2016年6月28日 4時) (レス) id: 252b10e98a (このIDを非表示/違反報告)
千年彗星(プロフ) - きゅーちゃんさん» 好きと言っていただきありがとうございます!! 今後ともこの小説をよろしくお願いします(*^^*) (2016年5月2日 17時) (レス) id: 113143dc1c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:千年彗星 | 作成日時:2015年8月1日 13時