【マギ】神出鬼没なマギ2.〜王の器になるべき者〜

第58夜 地位も名誉よりも ページ9

「やっちまったよ…」



何時もシトラーかクロしか居ないし、
人と言う人はユナンしか居なかったからつい癖で叫んでしまった…。





「主〜。どうするんですかこの状況〜！」



どうするって、

「逃げるに決まってるじゃん！」

「またですか〜？」



なんて言うやり取りをしていると…、


「A！A！！」


ユナンが手招きをしながら僕を呼んでいるものだから…、


「なにーーーー？？」


と、大声で叫んだ。





「ちょっといいかな？」


浮遊魔法を使おうとする僕に、
魔装魔装、と口パクで言ってくれるユナン。



魔装はいいんだけどさ…。
こんな所でしていいのかな？
皆僕が金属器使いってこと多分知らないだろうし…。
そしたら混乱を招きかねないし…。






けれど、
そんな考えすら見透かしたかのようにユナンは大丈夫、とまた口パクで言ってくれる。









てか、
君の大丈夫は信用できないんだけど！！



ここは普通に飛び降りようかな。
うん！そうしよう！！



そして足を手すりにかける。
そのまま飛び降り
地面に向かって一直線！！




ひゃっふーーー！！
風が気持ちーーー！！




そして華麗に着地！！




「決まった…」

「A！こっちこっち！！」


そしてそのままボルグの中へ。



「ユナンどうし…」

「おい！ユナン！！俺もその中へ入れろ！！」


人の言葉を遮って叫ぶ彼。


どれだけマギ同士の会話が聞きたいんだろ。





「その王候補を入れるんだったら
俺だっていいだろ！！」

「やだよ。三十路のおじさんを入れるなんて」

「お前の方がおじさんだろ！！」



そんな2人のやり取りを見つめながら
痛切に思う…。







本当はシンドバッドさんと居た方がユナンは幸せなのではないのかと…。








七つのジンを持って。
地位も名誉もあるこの王候補に…。









けれど、
そんな思いを打ち砕くかのように…、



「僕はAって言う名の王の器のマギ。

そして何より…、









君と彼女とでは王の器が違いすぎる…」







ユナンはたまに不思議な事を言う。


けれど僕はその意味の一つ一つを理解しているつもりだ。








シンドバッドさんとはまだ出逢ったばかりで、
彼がどんな王の器なのかはまだ分からない。









けれど、
地位も名誉もある彼より僕の方を選んでくれたユナン。









そんな彼のおかげで、
少しだけ心が救われたような気がした…。

第59夜 欲しい…→←第57夜 何気ない毎日

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す