【マギ】神出鬼没なマギ2.〜王の器になるべき者〜

第83夜 新手のカツアゲですか? ページ34

夕焼けが辺り全体を染める午後。


「きっ貴様!!こんな事して許されると思うなよ!!」



さっき蹴り飛ばした商人が僕に向かって声を荒げている。



「んぁ?お前よく見りゃ良い顔してるじゃねーか。よしお前、俺の奴 隷にしてやる!!」



さっきまで逃げ腰だった奴がよく言うよ。
しかも何?奴 隷?



「ねぇ、君馬鹿なの?」

「おい、その口調。ご主人様に向かって何だ!!」


いや、まだ君の奴 隷になるとか言ってねーし。何勝手に話進めてんの。



「さぁ、そうなったらこの足枷を」


そう言い僕の足に足枷を着けようとしゃがみ込む彼。


「クソが」


ドガッ!!!

良い気になってる商人に向かって膝蹴り〜。
ふぅーーー！
鼻血出てるね〜!!痛そ〜う!!



そしてふらふらと立ち上がったかと思うと、


「お前!!ぶっ殺す!!」


腰に挿してあった剣を抜いて此方に走ってくる。

周りから頭に響く悲鳴が木霊する中。



「う〜ん。もう一発顔面いっとく?」


バキッ!!

彼奴が顔の前で構えてた剣の音と、顔の骨が折れる音が辺りに響いた。



ハハハ!!
僕に勝とうなんて1000年早いわ!!


地面にくたばってる商人の顔は腫れ上がっていて。


「ちょっとやり過ぎたかも…」

「ちょっとどころではありません!!」


そんなに怒るなよ〜。
大丈夫だって!
死んでないから…多分。


「多分!?」

「多分」


夕焼け色がより一層濃くなり、僕たちの影が伸びる。


「くっそ…!!こんな騒ぎにしたんだ。宮中に知れ渡るのも時間の問題だろう…!!」


商人が起き上がりながら不敵に微笑む。


ほら。やっぱり死んでなかった。
だから言ったでしょ?シトラー。


「もう知りません…」


シトラーの呆れ声。


「そしたら今度こそお前は奴 隷。
否、もしかしたら殺されるかもなぁ!?」

「うるさい!!」

「!?」

「やっちまったもんは仕方ないだろ!!」


全く!!
男の癖にズルズル引きずりやがって!!
だから顔もズルズルなんだよ!!


「主。意味がわかりません」

「そりゃそうだよ。僕自身も分からないんだから」


クロを抱きかかえ人混みを通る。

おお〜。道を開けてくれてありがとう。
優しいね〜。


「怖がってるんですよ…」

「ニャ…」


すると突然、
ガシッと腕を掴まれたかと思うと、

「あんたこっち!!」

凄い速さである民家へと連れ込まれた。



目の前には子供を抱えたドレッドヘアーの女性と、左目を布で隠した男性。





ええええ!!!
何これ!!新手のカツアゲですか?

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