【マギ】神出鬼没なマギ2.〜王の器になるべき者〜

第85夜 神出鬼没な旅人 ページ36

「あんた奴 隷商人相手にあそこまでするなんて男前だね〜!!」

「死ぬ…。ぐるじぃ〜」



僕を三途の川の向こう側へと導こうとする女の人。
どうやら奴 隷商人をボコったことがお気に召したようで。


「皆を代表してお礼を言わせておくれ!!」


肩を持たれガバリと引き離された。


「ありがとうよ!!」


そして満面の笑みでお礼を言う彼女と、その横で深々と頭を下げる男性。



「そうだ!!あんた宿はもう見つけたかい?」

「あっ…。忘れてたーー!!」


商人ぶちのめすのに必死でそんなこと考えてなかったーーー!!


「おう!だったら泊まって行きな!!」

「本当!?いいの!?」


めちゃくちゃ優しいじゃないですか!!!
さっきまでカツアゲされるとか思っててごめんなさい!!


「なーに、あんたがした事に比べちゃ安いもんだよ!!」


そう言って、夕飯の準備に入る彼女。


「そういやお嬢ちゃん、名前は?」

「A!!」

「A…。いい名前だな!!」

「うん。大切な人から貰った名前なんだ」



戦友から貰った大切な名前なんだ。



「んで、この猫がクロ」

「ニャ!!」

「これがシトラー。僕の金属器」


ゴトッという音と共に机に置かれるそれ。


「あんた…。金属器使いだったのかい?」

「んー。まぁ、否定はしないけどね」


どっちかって言うと魔道士だしね〜。
シトラー?


「急に振らないでください」


そんな何気無い会話をしていると…、


「金属器使いか…。あいつを思い出すな…。
なぁ、ザイナブ…」

「あぁ、そうだねハッサン」


急にしんみりとし出すこの場。



「あいつ、何か思い悩んでる様子だったな」

「一人で背追い込む癖があるからね…」



ザイナブと呼ばれた彼女と、ハッサンと呼ばれた彼。


何か…、悩んでるのかな?
こんなにも心配そうな顔してるんだもの。
大切な仲間とかなんだね…、きっと。




「あ〜のさ…。何か悩みあったら聞くよ…?」

「ニャ!!」

「僕なんかが力に成れるかは分からないけれど…」


そうすると、2人して顔を見合わせて頷く。


「実を言うと、あんたを此処に連れて来たのはお礼の他にもう一つ頼みがあるんだ」


頼み…?


「あんたの事だろ?神出鬼没な旅人って」

「…。否定はしない」


髪の色から目の色。
身長や杖の形など、世界で噂になってるとユナンから聞いたことはある。


「そんなあんたに頼みがある」









その言葉に、少なからずルフが共鳴したのは気の所為では無いはずだ。

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