【マギ】神出鬼没なマギ2.〜王の器になるべき者〜

第70夜 今できることを ページ21

目の前を走る銀髪を追いかける。




ヤバイなぁ…。
彼奴、王様の所に届けるとか何とか言ってた。
金属器があれ以上彼の手元にあるのは危険。
そうマギとしての感が言っている。




「それにしても足速いな…」



これじゃあ銀髪が王宮に着く前に捕まえられないじゃないか…。




「んー。少しスピードあげるか…」



そうすればまぁ、追いつくだろ…。
てか！！人が邪魔！！
さっきからぶつかりそうになってるよ！


そんなこんなで見えてきた銀髪の後ろ姿。

「銀髪ーー！！」

そう声をかけながら隣に着き走る。

「うお！嬢ちゃん！！」

「僕の杖…」

「あっ！！」



お？やっと分かってくれたか？
そうそう！
それが僕の杖だよ、銀髪。


「嬢ちゃんの杖は後で一緒に探してやるからな！！」

「…へ？」

「そうだなぁ〜。2人っきりで探そうな！！」



ウインクを僕に向け先を行ってしまう銀髪。
予想外の返答に走る足を止めただ立ち尽くす僕。


しかも何？あのウインク。
普通の女性だったらキャーキャー言ったり、
一目惚れとかするんだろうけど…。
でもまぁ、
あいにく僕はそういう感情を持たないからね。
かっこいいとか思わないよ！！




「銀髪ーーー！！僕の金属器返せーーー！！」


叫び声とほぼ同時に地面を蹴り走り出す。




後ろから、

「おいおい。ここ地面えぐられてるけど…。」

なんて騒ぎになってるのは気にしない。



うん、犯人は僕だけどさ。
気にしない。
気にしたら終わりだ。うん。
しょうがないんだよ…。
速く走るにはあれくらいの犠牲は必要だ。



人混みを掻き分けるように、尚且つぶつからないように目的の人物を追いかける。







人混みが邪魔で思うように走れない中。
やっと手を伸ばせば届く距離に近づいた時。




「こんな大荷物…。
やっぱり年寄りには無理だったかしら…」


両手いっぱいに荷物を持ちながら、
ふらふら歩くお婆ちゃんの姿…。
たまによろけて人にぶつかっては頭を下げている姿に足が止まった。


「あぁ…。ごめんなさいね…」

…。

「すいません…」

…。

「失礼しました…」




今からでも彼を追いかければ余裕で追いつく。
けれど、
あのお婆ちゃんを見て見ぬ振りするのか？





…。





そんな事できないや…。




それに、金属器なら後からでも取り返せる。





「おばぁ〜ちゃん！大丈夫？手伝うよ？」



だったら僕は。





「ありがとう…」





今できることをしようじゃないか…。

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