【マギ】神出鬼没なマギ2.〜王の器になるべき者〜

第64夜 丸2日 ページ15

「A姉！僕この人と結婚する！！」






…。







は？
何だって⁉









そんなこと…。
そんなこと…。









「そんなことお母さんは絶対に許しません！」

「煩いよ…」




ガバリッ！！
そんな音を立てて起き上がった僕の顔面に
ユナンからの濡れタオルが直撃する。









くっそ〜。
地味に痛いなこれ！！









「元気そうだね…」

「僕は元々元気だよ！！」








見渡せば、
そこはなんともまぁ小綺麗な場所で。



顔面に直撃したタオルで少しは冷静を取り戻したのか、此処はホテルなんだという事に気づく。









「よく言うよ…。丸2日も寝てた人が」




ん？








「丸2日？」

「そう、丸2日」

「なんで？」

「風邪で」









そう言いながら
僕の横の椅子に腰掛けるユナン。









「馬鹿は風邪ひかないってシェヘラザードが言ってたけど…」







そう言って僕の方をチラリ…。







「どうやら嘘みたいだね！！」

「殴るよ⁉」




そう言って手を上げた瞬間…、


ズキッ！！


「ッ！！」








まるで抉られたかのような痛みに思わず蹲る。








「あぁ。それとね…」


そう言って僕の手から濡れタオルを取ると、
椅子から腰を上げるユナン。







「何回も言っているだろ？
傷の荒治療は禁物だって…」

「これくらい大丈…」

「これくらい？よくみて見なよ…」








そう言ってユナンに服を捲られる。






「この傷…。
随分、荒治療した跡があるけど…？」






その傷は、
マグノシュタットの件以前に出来た傷。




盗賊団との戦いの最中、
考え事をしてる隙にやられた傷で…。






「前はこんなに酷くなかったし…」




以前とは比べ物にならないくらい、
傷がザックリ開かれていて…。






「一応、回復魔法はかけておくよ？」





やっぱりユナンは凄いと思う。
こんな傷、
無かったかのように傷跡一つ付けずに治すんだから。








そしてその傷が癒えると無言のまま扉に手を掛ける。








言わなきゃ…。


ありがとう…って。
迷惑かけてごめんなさい…って。




「ユナ…」

「それから無茶は駄目。









あんな優しき王の姿を見たら幾ら僕でも堪える…」









バタン…。






その音だけを残してユナンは部屋を後にした。

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