マフィアな私達の同居生活【中原中也】

行きつけレストラン ページ5

「A様、今日はもうお帰りになられますか？」

「仕事は終わりよ。でも少し用があるの」

「お送りします。いつものレストランですか」

「ええ、ありがとう」



ここポートマフィアの本部ビル内の殆どの人間は黒服を纏う。人間だけではなく、建物の外も内も黒中心。マフィアだから当たり前だけど。

その中であっても個性のある服装をした人間は必ず要職に就いている。脱個性は強さの証。

私はというと、凡そマフィアらしくない白のブラウスにキャロットオレンジのロングスカート。チョコレイト色の編み込みベルトが個人的に気に入っている。

まるでマフィアに見えないと表される格好こそが私の強み。



窓の外はいつの間にか暗くなっていた。
ヨコハマの夜景を見ると安心する。昼間の青空も好きだけど、やはり私は夜の人間だ。

肌寒いだろうからとトレンチコートを着る。因みにベージュ。これに何か可愛らしいハンドバッグでも持てば、もう何処ぞの女子大学生だろう。というのは只の私の偏見だけど。



磨かれた黒の床を歩きながら、カツカツとヒールを鳴らす。黒服の中に一人普通の格好をしているのがいつも小気味良い。

口元に笑みを浮かべながら、正面につけられた黒塗りの車に乗り込む。

「じゃあお願いね」

「お任せください」

車はゆっくり発進した。



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いよいよ中也が…！

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