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Shall We Dance? 3 ページ38

パーティー会場のような優雅な音楽も綺麗なシャンデリアもない。
いつもの中也の部屋。
いつもの眺め。
それでも私には夢の時間だった。

中也の手が腰に回される。
私も恐る恐る手を中也の背中に添え、もう片方の手をお互い軽く繋ぐ。

黒堂社長とは全く違う、安定したホールドだった。

「Aのそんな格好初めて見るな」

普段より距離が近い。全て言葉が耳元に囁かれるのだ。

「中也も…相変わらず素敵だわ」

「はは、そうかよ」



ゆっくりステップを踏んでいく。
動きに合わせて翻るロイヤルパープルは、月明かりのお蔭で何倍も美しく、そして神秘的に見える。

「そのドレス誰が見繕ったんだ?」

「首領とエリス嬢よ」

体は密着したまま、強く、でも何処までも優しい中也のリードに合わせて踊る。
音楽の代わりに、囁き合って。

「…よく似合ってんじゃねぇか、何時にも増して」

「…ありがと」

月の光ってこんなに綺麗だったんだな。
銀色に輝く、まるで魔法だ。

「中也は?タキシード誰に選んで貰ったの?」

「あ?自分で適当に選んだだけだぜ」

「ふふ、やっぱりセンスが良いのね」

中也の腕の中でくるりとターン。
翻るロイヤルパープル。
そしてまた引き戻されて密着する。

「A、香水でも付けて、…あぁ」

「中也?」

何処か満足気な中也。

「どうしたの?」

「うるせぇ」

誤魔化すように、またくるりとターンさせられる。

「A」

その瞬間、中也が私の髪留めを取り去った。
さらりとほどける私の髪。
中也と同じシャンプーの香りがふわりと広がった。

「ちょっと、中也」

「下ろしとけ、ずっと。その方が良い」

顔がばっと熱くなる。
ふわふわした、浮いた様な気分。
もしかしたらこれは夢なんじゃないかって。
何度もそう思っては、目の前の中也の顔を見て実感する、全て本当の事なんだと。



延々に続く音楽は無い。
然れど囁き合いは永遠に。

建前も理性も捨て去って。
好きか嫌いかも関係ない。
愛とか恋とかややこしいことも抜きにして。

早く、遅く、激しく、優しく。

私達は気が済むまで躍り続けた。


************

本当はここまでをBirthdayの内に投稿したかった…!!

補足↓
髪下ろしていた方がシャンプーの香りがよくするからというAへの中也のちょっとした独占欲、のつもりです。

醒めた夢の後→←Shall We Dance? 2



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ねこつりー(プロフ) - かれんさん» ふふふ中也は何させても様になりますからね( 〃▽〃) (2018年4月30日 12時) (レス) id: b59e44559a (このIDを非表示/違反報告)
かれん - 中也かっこよすぎです。 (2018年4月30日 11時) (レス) id: 529a00cb8e (このIDを非表示/違反報告)
ねこつりー(プロフ) - rikoriko51さん» 丁度彼の誕生日だったのでギザな台詞を言って貰いました笑 コメントありがとうございます!凄く嬉しかったです(T^T) (2018年4月30日 7時) (レス) id: b59e44559a (このIDを非表示/違反報告)
rikoriko51(プロフ) - HappyBirthday中也! 更新頑張ってください!楽しみにしています。 (2018年4月29日 23時) (レス) id: a789258bf1 (このIDを非表示/違反報告)
かれん - 楽しみにしてます! (2018年4月28日 18時) (レス) id: 2c537c1151 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ねこつりー | 作成日時:2018年4月20日 22時

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