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無用な争いや対立を好まない理性的な人格者であると周囲に評価されていることが多い。が、実際はそうではない。その評価は半分は正しいが、もう半分には誤りがある。確かに、彼は無用な争いや対立を好まない。しかしそれは、彼や彼の種族が非常に知的で合理的な思考を持つ存在であるが故に、物事を自身や仲間にとって有益か無益か、無駄か無駄ではないのか、それを判断し無駄と判断したものを徹底的に避けているが故であり、人格者か、と聞かれれば否である。
微笑みの下で目的のためならどんなに非道で腹黒いこともどんなに凄惨で残酷なことも平然とやってのける、清濁併せ持った獣人。怒りの沸点が常人の数十倍以上あるのではとされているほど滅多に怒らないが、それ故に一度堪忍袋の緒が切れると中々落ち着かず、許容できない言葉や行動(特に母親や彼の種族への侮辱)に対してはたとえ相手が誰であろうと烈火のごとき憤怒の感情を発露させる。
種族的な特徴か複数の弟や妹を持つためかは不明だが、責任感と保護本能が一際が強く、愛情深い。そのため弱者、特に女性や子ども、老いた個体が虐げられることを嫌い、自分の群れの構成員と認識した個体に対しては他種族であっても献身的に世話を焼く。しかし、その性質故に「愛がかなり重い」、「恋人として見られていないように感じる」として恋人や想い人に振られた経験が多々ある。
また、彼の人柄に好感を抱く者が多い反面、彼の過去や事情をよく知らない者からすれば彼は「偽善者」そのもののように感じられ、その無欲さや無償の愛を振り撒く姿に、怒りや疑念を抱かれたりすることもある。『己が如何に恵まれていないか分かっている上で足掻こうと』している人からは特にそうであり、教師陣の間でも評価が二分している不思議な存在。彼の同僚曰く、そろそろ七不思議に登録されてもいい頃合。
常に柔らかな微笑みを浮かべ、低い物腰を崩さない。そんな彼は寛容と慈悲の化身ともとれるような人物だが、自身の心の深い場所に踏み入られる事だけは何よりも嫌っており、たとえそれが彼を慕ってくれている生徒たちによる彼等なりの"気遣い"や、彼を慮ってのことであったとしてもやんわりと、だが確かな圧力を持った声音で静かに警告する。それは自身の心に潜む、「本性」を見せることで周囲から幻滅され、大切な人々が離れていくことを恐れているが故であり、あまりに静かな為に分かり辛いが、彼なりの、自らに出来る最大限の友愛や親愛の示し方である。
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作者名:ねこうさぎ | 作成日時:2021年1月12日 18時