強い彼女。 ページ6
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少し薄暗くなった校舎の中を、1人で歩く。射し込む夕陽の光以外に俺を照らすものは無い。
そして頬の絆創膏が、僅かな光を反射していた。
腕には包帯。足にはガーゼとテープ。
日常茶飯事となった怪我は、リカバリーガールに治癒されることが無くなってきた。翌日体が全く使い物にならなくなるからだ。
過酷な授業と、遅くなる帰宅時間。
それに伴ってAと帰る日も徐々に減る
「……はぁ」
不意に出たため息を右手でそっと抑えて、玄関への道をただただ進んでいた。
その時だった。
「A！なんでだよ！！」
『だから、私はあなたの事好きじゃない』
耳に届いた大きな怒鳴り声と、遠慮がちな彼女の声。思わず扉の影に隠れてしまった。
……(多分)告白した相手をたたっ斬るのは流石に可哀想だと思うぞ、A
『私、大好きな彼氏がいるし』
その原因は俺だけど。
少し……いや、かなりの優越感に緩んだ口元をサッと隠して2人を観察する。Aの傍で顔を真っ赤にして怒りを顕にしている男は、どうやら2年らしい。
どこにでもいそうな、男という印象。
「……それ、1年の轟ってやつか」
突如上がったのは、俺の名前。
『うん。そうだけど』
「ソイツ、エンデヴァーの息子だろ」
『……それが、何？』
温厚な彼女の声が、急に低くなる。
その声に相手の男も一瞬怯んだが、それを飲み込んで嘲るように少し笑ってから
「万年No.2の息子なんて親の七光りもいい所だろ！そんなヤツ選ぶとか趣味悪い女だな！」
その場に、静寂が波のように広がる。
今にでも飛び出して殴ってやりたい気持ちを抑える俺に対して、Aは無表情で男の目を見ている。
そして、Aの手が男の腕を掴んだ
『別に…私の事馬鹿にしてもいいんだけど』
「ッ！？」
『焦凍を馬鹿しないで！
アンタみたいなクズの5倍は良い彼氏だから！』
見事な一本背負いが、決まった。
目を回してダウンする男と、蔑んだ目線を送る俺の彼女がその場に残された。
「………」
正直俺は、嬉しさよりも男らしさで負けた気がしてならなかった。この年で異性に好意とは違って意味でときめいている自分がいる。
俺の彼女は、強くて格好いいらしい。
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猫田。(プロフ) - 爆豪いちこさん» 面白いと思って頂けて嬉しいです！！ありがとうございます！ (2019年3月25日 16時) (
レス) id: 89bfed9050 (このIDを非表示/違反報告)
爆豪いちこ - 私もヒロアカ書いてるけどこんな面白くかけないのですごく羨ましいです！本当に面白いし好きです、更新頑張ってください！ (2019年3月24日 12時) (レス) id: ca9b377dc3 (このIDを非表示/違反報告)
猫田。(プロフ) - 千燈篭さん» ありがとうございます！！ (2019年3月23日 12時) (レス) id: 89bfed9050 (このIDを非表示/違反報告)
千燈篭(プロフ) - すごく面白いです！頑張ってください！ (2019年3月23日 8時) (レス) id: d8fcfefed1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：猫田。 | 作成日時：2019年3月22日 21時
