41．人たらしと猫 ページ41
夏油に離すよう言われても脹相はキュッと口を結んで離してくれなかった。
受肉した体は他人のものなんだろうけど……何でだろう？脹相の匂いは安心する。
そんな風に思っていれば＿＿
脹相「俺には……感謝を伝える手段がこれしかない」
夏油「というと？」
脹相「俺は金銭なんてものは持ってない。だから、俺自身を礼として渡したいんだ」
A『えっ』
驚きすぎて声が出るけど、脹相は本気のようで。
そこまで壊相と血塗を助けたことに恩を感じているのかな。
A『僕が壊相たちを助けたのは自分のためでもあるし……別に気にしなくていいよ』
脹相「いや！弟を救ってもらったからには何か礼をさせてくれ。
お前の言うことなら何でも聞く」
真人「もう！Aはいらないって言ってるだろ！」
恩を感じる必要はないと言っても離してくれない。
それに不服な真人が脹相を引き剥がそうとするけど、逆に強く抱きしめられてしまった。
なかなか離れない脹相に真人は＿＿
真人「Aには俺だけいればいいの！お前はすっこんでろよ」ｸﾙﾘ
脹相「……猫？」
ふわふわな灰の毛並みの猫に変化してみせると、ぴょいと僕にくっついてきた。
それに驚いた脹相がやっと腕から解放してくれる。
A「猫ちゃん……！やっぱり僕の猫が一番可愛いな」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ
真人「ふふん♪そうでしょ？……ん？A、俺の他に猫いるの？？」ｽﾘｽﾘ
すくにゃん、もとい宿儺を思い出したけどはぐらかす。
宿儺も猫みたいに可愛がってたなんて言ったらまた不機嫌になるだろうし……。
脹相「……俺も猫耳をつければいいのか？」
壊相「それはそれで面白そうですね」
血塗「お前猫になれるのかぁ？可愛いなぁ」
揺れ動く真人の尻尾を触ろうと血塗がぴょんぴょん足元で跳ぶ。
それを分かっているのか、真人はわざと尻尾を揺らしていた。
夏油「Aには人たらしの才があるみたいだね。まぁ、私も君に魅了された一人なんだけど」
真人「はぁ！？夏油は絶対ダメ……！Aは俺のだから」
夏油「あぁそうだったね。からかって悪かったよ、ごまプリンちゃん」
真人「勝手にメール見ただろ、それで呼ぶなって！」
夏油も僕たちのメールを見たんだ？怒る真人をなだめていると。
何だか騒がしくなってきたから、とりあえず『皆んなで人生ゲームする？』と誘った。
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作者名：シュリィ | 作成日時：2023年5月7日 20時
