28.友達と猫 ページ28
八十八橋から下の峡谷を目指し、土手を降りていく。
恵の情報によれば上にある橋には何も異常はなかったらしい。
それなら、下の峡谷に呪いの巣窟が存在しているのではとのことだった。
A『ねぇ恵、昼間に来た時は下にも何もなかったんだよね?』
恵「あぁ。でも、夜になればまた何か違うかもと思ってな」
恵と話しながら歩いていれば、僕の呪力探知に何か引っかかる。
A『(さっきから誰かにつけられてるな……この様子だと恵は気づいてないみたい)』
ざっと見て3人。どれも見知った呪力だけど。
どう声をかけようか悩んでいれば、橋の下で恵が立ち止まった。
恵「……多分、ここの呪霊は結界内にいるんだろう。
何らかの条件を満たせばそこに入れるはず__」
A『へぇ、じゃあその条件とやらを見つければいいんだね。
それと____』
そこまで言って僕は後ろへ振り返った。
A『そろそろ出てきたらどう?悠仁、野薔薇、順平』
悠仁「えっ……!?」
野薔薇「やばっ、もうバレたの!?」
順平「やっぱりA君は騙せないか……」
僕と目が合ったことに驚き、立ちすくむ3人。
恵も今まで気づいてなかったのか驚いて言葉を失っている。
A『最初から気づいてたけどね。皆んな恵が心配でついてきてたんでしょ?』
悠仁「そういうことになるな……」
野薔薇「別れ際の伏黒、なんかおかしかったのよ」
当の恵は難しい顔をする。
今回の任務は本当に危険だし、同級生を巻き込みたくないのが本音なんだろう。
僕を頼ってくれたのはちょっと嬉しかったけど。
悠仁「なぁ伏黒。別になんでも話せとは言わねぇけどさ。
せめて頼れよ__友達だろ?俺たち」
悠仁の言葉にみんなが頷く。
恵は目を逸らしたまま、事情を話し出した。
恵「……津美紀は寝たきりだ。本人が申告出来ない以上、いつ呪い殺されるか分からない。
だから、今すぐ祓いたい」
『でも任務の危険度が上がったのは本当』と続けたら悠仁たちの声にかき消された。
野薔薇「はいはい、もう分かったわよ」
悠仁「はじめっからそう言えよな」
順平「僕だって、友達のために頑張りたいんだ」
3人の言葉に恵の頬が緩んだ。
最後に僕も口を開き__
A『皆んなで恵のお姉さんを助けよう。僕たち5人ならきっと大丈夫だよ』
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作者名:シュリィ | 作成日時:2023年5月7日 20時