2.雷雨と猫 ページ2
任務帰りのある日の夕方____
また僕の飼い猫へと会い行こうとしたら、途中で雨が降ってきた。
あいにく傘なんてものは持ってきてないから雨の中を走ってアジトへと向かう。
おまけに空が一瞬光ったかと思えば雷まで鳴り出す始末。
A『天気予報ちゃんと見ておけば良かったな……。はぁ、けっこう濡れちゃったけど砂浜だし別にいいよね』
濡れて湿った髪を後ろにかきあげながら、アジトへの扉を開ける。
そこには、外の激しい雷雨とはうって変わって快晴の南国のビーチが広がっていた。
そして、ビーチチェアの上で読書している真人を見つける。
真人「Aおかえりー……って、えっ!?びしょ濡れじゃん!」
A『ただいま。急に降ってきたから傘を持ってきてなくて……くしゅんっ』
真人「くしゃみまでしてる。濡れてる君もいいけど、風邪をひかないか心配だよ。ただでさえ人間はすぐ病気になるのに」
真人は服を脱ぐと、自分の服で拭おうとしてくるからやんわりと制止した。
A『ここは暖かいから平気だよ』
真人「そう?でも、やっぱり濡れたままは良くないよ。家に帰って風呂に入った方がいい……ちょっと待ってて」
そう言って真人は森の方へ向かうと傘を持って出てきた。
何やら、使えそうな物は色々と陀艮の領域に置いているらしい。
真人「じゃーん!こんなこともあろうかと傘を拾ってきてたんだ」
陀艮「ぶー!」
A『陀艮も来てくれたんだ。そういえば漏瑚達の姿が見えないけど……陀艮を1人きりにするのは危なくない?』
いつの間にか海からあがっていた陀艮が真人の真似をしてぴょんと飛び跳ねる。
その様子が可愛くて頭を撫でて上げれば、嬉しそうに触手をゆらめかせた。
真人「それもそうだね……あ!なら、叢雲をここに置いていくのはどう?」
A『叢雲を?確かに、叢雲なら下手な呪術師が来ても返り討ちにできそうだけど』
叢雲「グラァ!」
陀艮「ぶぅ!」
名前を呼ばれてか、勝手に叢雲が出てきてしまった。
まるで『任せろ』と言うかのように短く鳴き、陀艮を長い尻尾で抱き寄せる。
陀艮も叢雲を気に入ってるようだし心配なさそう。
A『任せてもいい?じゃあ、留守番よろしくね』
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作者名:シュリィ | 作成日時:2023年5月7日 20時