尖らせ82 ページ22
青峰side
ゴム製の水槽の中で赤、黄色、白の金魚が泳ぎまわる。
すごく自由で、気持ちよさそうだ。
…俺も中に入ったら、このモヤモヤが晴れるのか。
そんなことを胸にまだまだ破ける気配のないポイを片手にじっと水槽を見つめた。
「うわ!破けた!!やわッスねー…」
「ちょっときーちゃん、ポイのせいにしちゃダメだよ!」
「ふん、普段から人事を尽くしていれば…」
「そう言う緑間っちのも相当ボロボロッスけどね」
「…。」
隣で同じく金魚を狙ってしゃがみ込む黄瀬がふてくされる。
そんな黄瀬に突っ込むさつきも、緑間も…その手にあるポイは濡れて破けてすでに仕えそうにない。
俺は自分のまだまだ切れてすらいないポイを再び構えて金魚をどんどんすくっていった。
「…。」
ふと、少し距離のある後ろの方でテツと沢渡が二人して何か話をしている様子が見えた。
瞬間、先程沢渡をおぶったときのモヤモヤとは違う…ドロドロとした感情を感じる。
「??大ちゃん?」
「おい、これ…袋につめてくれ」
「え。まだ使えるッスよ、そのポイ…」
「いんだよ。」
スクッと立ち上がった俺は金魚が入った袋を片手に、さつきたちの声を無視して二人の元へ駆け寄った。
「おーい、テツ!さわわわ!!見ろよ、すげぇ捕れたぜ!」
…と、
少しだけ表情に曇りがかかっていたテツが沢渡の腕をとって俺とは反対方向へと走って行ってしまった。
二人の姿がどんどん離れていく。
俺は目を見開きそれからしばらく目を離すことが出来なかった。
直後。
「ねぇ。向こうの社の所にさ…」
「そうそう。…怖かったね…大きいバイクがあってさ…」
隣を通りがかった浴衣の女二人のその会話が耳に入って来る。
俺は小さく舌打ちをして、さつきたちのいる金魚すくいの屋台に引き返した。
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猫男爵(プロフ) - ドSヒーローさん» いえいえ、コメントありがとうございます!^^ す、好きだなんて!!めちゃくちゃ嬉しいです^^ありがとうございます。 (2014年9月29日 21時) (レス) id: 0d3f3d8af7 (このIDを非表示/違反報告)
ドSヒーロー - いきなりなコメントすいません。。 俺この作品結構好きです。。 (2014年9月28日 23時) (レス) id: 6defaf6279 (このIDを非表示/違反報告)
♪涼雪♪ - 猫男爵さん» はーい!では、続編でお会いしましょう!! (2014年8月22日 7時) (レス) id: ec3ade301c (このIDを非表示/違反報告)
猫男爵(プロフ) - ♪涼雪♪さん» ありがとうございます!!頑張ります(>v<)q (2014年8月21日 22時) (レス) id: 0d3f3d8af7 (このIDを非表示/違反報告)
♪涼雪♪ - 猫男爵さん» 頑張ってくださーい!!応援してまーす!(≧∇≦)p(^-^)q (2014年8月21日 18時) (レス) id: ec3ade301c (このIDを非表示/違反報告)
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