【黒バス】出会いはバニラの香りがいたしまして、チョコ派の私は少し口を尖らせます。Third

尖らせ７３ ページ13

「…まぁな。」









視線を逸らしながら適当に交わす。

自分で言っておいてまぁなってなんだと顔をしかめつつ、隣から話しかけてくるさつきにあ？と視線を向けた。









「んだよ、さつき」


「だから浴衣！どうかなって！」


「あぁ、あー…いいんじゃねぇの？」


「もう！また適当に！！」









隣に立つ白色の浴衣を着たさつきを通り越し、その向こうに黙って立つ黄色の浴衣の沢渡を視界に入れながらの一言。

昨日の電話で美容院に行くだなんだかんだ聞かされていたため、浴衣でくることは予想していたが…。



あのちんちくりんがここまで女っぽくなるなんて。









「(想定外だ。)」









すっかり暗くなってしまった外を見つめる。

テツが気に留めることも頷けるな、なんて思いながらため息をついた。









「ねぇ、聞いてよAちゃん！大ちゃんってば、こんなに頑張ってオシャレして来た私たちを見ていいんじゃねぇの…だって！」


「青峰さんの目はきっと節穴ですよ。桃井さん、こんなに美人なのに」


「はぁ？どこが美人だよ」


「もう！さいってー！！」









テツくんなら絶対紳士的なこと言ってくれるからいいもん！


そう言って頬をふくらますさつき。

ふと視線を沢渡にずらすと、そんなさつきを見つめ少しだけ雲のかかった笑みを顔に浮かべていた。

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