第５７曲 ページ16
『ゆ、遊木くん？』
「ご、ごめん！桜雪ちゃん！急に引いたりして…！大丈夫？！」
『だ、大丈夫だけど…どうしたの？』
謝りながらも車いすのグリップを離さない遊木
くん。
彼なら、悪戯で車椅子をわざと引くことはない
だろうと、遊木くんへ問いかけると、遊木くん
は恥ずかしそうに頬を掻いた。
「あの…こんなこと言うのも恥ずかしいんだけど…その、桜雪ちゃんの車いす押して良いかな？」
『え？』
「僕、この一週間の特訓で、大分筋肉がついたんだ！…だから…今度はちゃんと押せると思うから」
…そう、前にも遊木くんが階段で車いすを押す
と申し出て切れたのだが…階段の踊り場につく
頃には息を切らしていて、そこからは車いすを
押せる状態ではなかったのだ。
その時のリトライだと言うように、申し訳なさ
そうに眉を下げる遊木くんの姿が何だか嬉しく
て…、思わず口が緩む…。
『うん、じゃあお願いしようかな』
「！！…うん！任せてよ！」
私が頷くと、嬉しそうにはにかんで、任せろと
胸を叩いてみせるから、思わずまた笑ってしま
った。
＿＿＿「……」
『……？』
「どうしたの？桜雪ちゃん」
グリップを握って張り切る遊木くんに氷鷹くん
と衣更くんと一緒に微笑ましく見守っている
と、突然感じた嫌な視線……。
けれど、視線を感じたほうへ向けてもそこには
誰も居なくて……。
『…ううん、なんでもない』
一瞬感じた嫌な視線を振り切るように、突然１
点を見つめた私を不思議そうに見ていた遊木く
ん達へ笑いかけたのだった＿＿。
.
「それにしても、彩ノ瀬があの時間に来るなんて珍しいな」
あれから何とかギリギリで教室に滑りこんだ衣
更くんと私は、息を整えながらなんとかSHRを受
け(と言っても先生の話は全く耳に入ってこなか
ったが…)、SHR後の休み時間に、衣更くんが改
めて言った。
…確かに、遊木くん達と話していたとはいえ、
今日は何時もより来るのが遅かったのだ。
『うん…昨日書いてたら夜遅くなっちゃって…今日は弟も朝早かったから寝坊しちゃったんだ』
＿朝、机上に置いてあったびっしりと謝罪の言葉が綴られた紙とメールが記憶に新しい…
「書いてた？」
『うん…実はね…』
「さ〜き〜」
『わ…！』
私の"書いていた"の言葉に首を傾げた衣更に、
そういえばまだ話していなかったと説明しよう
とすると、気だるげな声と共に誰かが伸し掛か
った。
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朔櫻 実桜(プロフ) - *神*威*さん» まだ秘密ですが……恐らく"あの人"です(笑） (2017年10月29日 22時) (
レス) id: cb01b25ab1 (このIDを非表示/違反報告)
朔櫻 実桜(プロフ) - *神*威*さん» ありがとうございます！！面白いと言っていただけるとは恐縮です！どちらかというと男主を書くことが多いので女主の話を書くことは慣れないのですが…ドキドキすると言っていただけてとても嬉しいです！更新これからも頑張ります！ (2017年10月29日 22時) (レス) id: cb01b25ab1 (このIDを非表示/違反報告)
*神*威* - 視線の正体って、“あの人”ですよね？(笑) (2017年10月28日 23時) (レス) id: 662403215f (このIDを非表示/違反報告)
*神*威* - とても面白くて、読んでいてドキドキします！これからも更新頑張ってください(^○^) (2017年10月28日 23時) (レス) id: 662403215f (このIDを非表示/違反報告)
オワタ - 朔櫻 実桜さん» 楽しみにしてます 真緒くんへ、ならば小一時間話そうではないか(＾言＾) (2017年2月19日 18時) (レス) id: 8f905062d1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：朔櫻 実桜 | 作成日時：2016年6月29日 1時
