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路地裏にて、── 五 ページ8

「惜しいな。君とは別の目的で出逢っていれば殺り甲斐をもっと感じただろうに。生憎と、今回の標的は君だけでは無いからな。何日も君に構っていられる時間はない。佳い加減その異能、如何にかならないのか?」
 あれから十分程経ったが、頭を吹き飛ばそうと心臓をピンポイントに狙おうとAは一向にピンピンしている。
 流石のAも、『痛みは一瞬! その後は直ぐに元通り☆』状態に脳が慣れてきたのか、悲鳴を上げることもせずに(其れでも痛いものは痛いのか、脂汗だけをびっしりと掻いて)涼しい顔をしていた。

 「……無いことは無いです。一つだけ、心当たりがあります。但し時間は掛かりますが」
「ほう? その方法は?」
「教えるつもりは無いですし、仮に教えた所で貴方には絶対に成し遂げられませんよ」
 其の言葉に、ヴェルレエヌは眉間に皺を寄せた。



 「もう佳いじゃ無いですか。貴方に私は殺せません。もうお互い帰りましょう。私は色々疲れたし、貴方は他に標的がいるんでしょう? ならささっさと其の相手を殺しに行けば佳い」
「断る」
「……貴方のプライドが許しませんか?」
「まぁ、其れも無くは無いが……。其処まで軽い態度を取られても、俄然殺る気が湧いてくるだけだ。おまけに、君の異能も随分と珍しいものだからな」
 うっわ……。太宰君よりも面倒臭いな。
 Aは隠しもせずに其の顔を顰める。対するヴェルレエヌはニコリと笑っていた。



 「……よくよく考えてみれば、私は死ぬ訳にはいかないんですよ。おまけに義姉さんと同じ、『通り魔に襲われて死亡』している現場を見せる訳にはいかないんです。其れはあまりに親不孝者すぎる」
「あぁ、君と同じく養われている男に殺されたんだったか?」
 その瞬間、Aは『ヴェルレエヌが何故その情報を知っているのか』と、『そう云えば事件関連の書類にまでは手を回さなかったな』の二つを考えていた。
 そもそも事件に関しては義両親を含めた近所の人にも念の為に偽の記憶を植えつけたし、そうで無くても其の話題を振る人間も案の定いなかったのだ。

 ……そうだ、記憶の改竄。此れは使えるな。
Aは再び前を見据えた。
「帰ってください」
「断ると云ったが?」
「そもそもお門違いです」
 ヴェルレエヌは不可解そうに首を傾げた。

 「だって、中原君にはポートマフィアと関わりのない女子高生の友人なんていないので」

帰宅→←路地裏にて、── 四



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黒猫 - pixivの方でコメントできないのでこちらでさせていただきます。相変わらず面白かったです!他の小説も読ませていただきました。ポケモンの「顔面600族は見慣れてるから」で「スゲェ」ってなりました。私は何回見ても慣れる気がしません…。次の更新、楽しみにしてます! (9月3日 16時) (レス) id: 4dfbfc9ed5 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 息抜きさん» 返信ありがとうございます!読みづらいことは無いです!普段pixivで読んでいるので、名前変更は出来ても出来なくてもそんな気にしてないので!ただ仕様なのかどうなのか気になっただけです!返信ありがとうございました!これからも楽しみにしています! (6月4日 18時) (レス) @page16 id: 199d1c4ec1 (このIDを非表示/違反報告)
息抜き(プロフ) - 霧さん» コメントありがとうございます! くるっぷには占いツクールの様に、名前表記を変更する事が出来ないんです😭 読みづらくて本当に申し訳ないです…… (6月3日 22時) (レス) id: aff75be4a1 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - コメント失礼します!いつもワクワクしながらこの小説を読ませていただいております!主にpixivで読んでいるのですが、くるっぷというサイトでも小説読みました!質問なんですが、あの(名前)は変更できるのでしょうか?それともそういう仕様なのでしょうか? (6月2日 22時) (レス) @page17 id: 199d1c4ec1 (このIDを非表示/違反報告)
息抜き(プロフ) - ほしくずさん» お待たせして申し訳ありません。昨晩から色々と方法を試してみたのですが、いまいち進展がなかったので、くるっぷというサイトも使用してみる事にしました。わざわざアプリを入れる手間をかけて頂いたのに、解決策を見つけられず申し訳ないです……。 (5月25日 13時) (レス) id: aff75be4a1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:息抜き | 作成日時:2022年12月28日 22時

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