〇March 14 ページ4
まだまだ肌寒い3月。特に朝晩は冷える。朝が弱いエレンは今日も起きれただろうか。毎朝そんなことを考えながら学校へと行く。
卒業式も終わり、3年生がいなくなった学校はどこか寂しそうで。
赤くなった指先を擦って温めながら、信号が変わるのを待つ。冷え性の私は寒くて凍えてしまいそうだった。手袋はつい最近破けてしまって今はない。新しい物を買わなくては。
「A！」
「エレン、おはよう」
「おはよう」
なんだかそわそわしている。理由はわかっている。なんたって今日はホワイトデー。エレンの手作りチョコが貰えるはずの日。もしかしたら間に合わなかった、という報告かもしれないが。
「これ、作った」
少し崩れたリボンがエレンの不器用さを物語っている。そんなところも愛おしくて思わず頬が緩んでしまう。
「ありがとう。開けるね」
「あ、ああ……」
しゅるしゅるとリボンを解く。開けると中には少し不格好なハート型らしきチョコが入っていた。エレンの手には絆創膏が何枚も貼られていて、頑張ってくれたのだと思うと嬉しくて泣いてしまいそうだった。
「エレン……ありがとう」
「ああ！…って何泣いてんだよ！」
「エレン苦手なのに頑張ってくれたんだなあって思ったら嬉しくって」
「……っんだよ」
一口かじってみた。甘いチョコレートが口の中でとろけた。エレンは甘党だから、少し甘みが強い。でも、これがエレンの作るチョコだから、私は好きだ。
「美味しい、すっごく美味しい」
「ほんとか！？」
「うん、エレンの味がする」
「どんな味だよ」
「少し甘ったるい」
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作者名：nana. | 作成日時：2019年1月8日 21時
