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Trauer 09 ページ10

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「おっ、来たか」



そう言って煙草ふかしている眼鏡の男性がいすに座って出迎えてくれた。


「はじめまして、俺は林藤匠だ。ここの支部長やってる」

「鳥羽Aです」


──林藤。


その父や兄の口から何度も聞いたことのある名前に、つい反応しかけた。

けれど別人だろう。林藤さんはそう少なくない名字の筈だ。


変に反応しないように気持ちを落ち着けて、説明を簡単に受ける。

書類に名前を書き込めばいいらしく、よく読んでから名前を書き込んだ。



「よし。正式な入隊は保護者の書類がそろってからだが、支部長としてボーダー玉狛支部への参加を歓迎する。

__ようこそ、ボーダーへ」


「よろしくお願いします」



林藤さんのその言葉に自然とそう答えていた。

それを眺めていたはずの迅さんが思いついたようにこちらを見る。



「そうだ。良かったら親御さんに連絡して泊まっていきな、もうこんな時間だしね」


「確かにこの時間に返すのはな……」



そう二人に言われて時計を見ると既に七時を回っていた。

これは確かに今日ネイバーに襲われたばかりの中学生を出歩かせたくはない時間だ。

お言葉に甘えて保護者に電話することに。
長いコール音の後、「はい」という叔母さんの声が聞こえた。



「あのね、叔母さん」



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作者名:猫鞠 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=neconuco  
作成日時:2021年3月7日 1時

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