【ワールドトリガー】愛惜のシックザール (ページ36)

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Trauer 35 ページ36

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五月女先輩の手を無理やり引っ張って訓練室に行く。

オペレーターの机には帆波さんが座っているので「私と五月女先輩に弧月のトリガーください」と言い放つ。

驚いた顔の帆波さんが了承したのを見届けて、訓練室の中へと駆けこんだ。

「おい！」

「なんですか」

「後にしろって！」

「逃げるじゃないですか」

そう言うと、五月女先輩は言葉を詰まらせて「逃げてたわけじゃ」と告げる。

でも、実際逃げてたのは一緒だ。

自分でも思う所があるのか、彼は黙った。

彼に憤っているはずなのに、頭は酷く冷たく冷静だ。

冷静じゃないといけないと知っているから。

「貴方が勝ったら好きにしてください。でも、私が勝ったら向き合ってください」

「お前に向き合う必要なんて……」

「私ではなく現在に、過去の傷に＿＿そして凌先輩と美桜先輩に向き合ってください。貴方がやるべきことを為してください」

それをなぜ私との勝負で賭けるのかなどは聞かせない。

理由なんて、それがなすべきことだと思ったからだけなのだから。

動揺した五月女先輩と、苦手だと判断し使わなくなった最初に試したトリガー弧月での一本勝負の開始のブザーが。

今鳴り響いた。

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