【ワールドトリガー】愛惜のシックザール (ページ34)

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Trauer 33 ページ34

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「──俺は、それでもやっぱり隊にいてほしい」

たとえそれが、隊長という形でなくとももう一度チームを組みたい。

今度こそ幸せになる為に＿＿と言う凌先輩の背中が酷く大きく見えた。

それに伴い今期──2月からあるランク戦の参加は厳しいというけれど、別に構わない。

本当はこんなすごい人たちとチームを組んで、チーム戦ができたら楽しいと思ったけれど。

＿＿＿＿＿＿
＿＿

「────あ」

その声に反応して、気まずげに目を逸らしたのは五月女先輩だった。

その実、五月女先輩とはあまり話したことはない。

仮入隊の頃から、練習相手を頼んでもあまり向き合ってくれたことはなかった。

彼自身が私を避けているようだったからというのもある。そして、私に対して恐れのような感情を抱いていることも彼から確かに感じるから。

「五月女先輩、今いいですか？」

「…………また今度にしてくれないか？」

まだ目を背けたまま、彼はそう言った。

今までは、それでいいと思ってた。

でも、逸らさないでほしいと思った。だって私から目を背けるのは彼の臆病さの現れで、甘えで現実からの逃げだと知ってしまったから。

いつもの私だったらそれも許せたのかもしれない。

でも、許せないと思ってしまったのだ。

過去を見つめるこの人を。

別に、凌先輩の言葉に動かされてとかそういうのではない。

生きる人には、誰かの未来への希望が託されたり願われていたりする。

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