Trauer 24 ページ25
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「五秒!? 凄いな」
「そう、かな? いつかは誰かに追い抜かれちゃうよ」
私の動きにはまだまだ無駄がある。
自分でそう気付いて直せる部分があるうちは弱い。
自分じゃ気付けなかったり、直しづらい部分が出てきてからが本番だ。
「へー、見てたけど凄いのねアンタ」
「ていうか威力おかしくない?」
そう声をかけてくれたのは三つ編みにして髪をまとめている子と黒髪の女性。
驚いて固まっていると、ぬるっと自己紹介してくれる。
「あ、あたしは熊谷裕子。中三」
「私は照屋文香。中二だよ」
「あ、私は鳥羽A。中二です」
そう告げると、「いやーよかったわ」と熊谷先輩は少し安心したようにそう言った。
一体何に安心したのだろうか?
「アタシと文香だけが女子じゃ気まずいって話ししてたのよ」
「エッ」
その驚きの声を上げたのは私でも、文香ちゃんでもなく____私がさっきまで話していた歌川くんだ。
振り向くと驚いた顔の彼と目が合う。
「……さては歌川くん、私を男子に間違えてたね?」
「…………ほんとにごめん」
紛らわしい容姿をしている自覚があるので、そう強く言ったりしない。
なので、そう堅くならないでほしいのだけども。
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作者名:猫鞠 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=neconuco
作成日時:2021年3月7日 1時