Trauer 02 ページ3
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一か八かで始めたこの追いかけっこも、そろそろ私の体力が底をつきかけている。
人の限界速度というのは遥かに遅くて、思ったよりも早くあっという間に距離を詰められてしまっている。
それでも足を止めたりなどでもして、これ以上距離を詰められればまずい。
本当に第一次侵攻の見た惨事のごとく、私など容易く食べられてしまうだろう。
__なのに!
「あっ…………!」
ズザザザッと派手な音を立てて思いっきり地面に体を打ち付けるように転んだ。
勢いがあっただけに、かなり地面の上を滑ってしまった。
半ズボンでいたため膝小僧や、長袖であったものの手から腕にかけてが熱をもって痛み出す。
それでも、足に力を込めて立とうとあがく。
のんびり歩いていればあの化け物に食べられてしまうから。
食べられてしまう恐怖なんてそんなものは、味わいたくない。
怪我を確認する暇はない。
少しでも遠くに逃げなければ。
そう思うのに、膝は私を嘲笑うようにガクガクと震えるばかりだ。
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作者名:猫鞠 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=neconuco
作成日時:2021年3月7日 1時