検索窓
今日:3 hit、昨日:2 hit、合計:32,669 hit

Trauer 02 ページ3

*****




一か八かで始めたこの追いかけっこも、そろそろ私の体力が底をつきかけている。

人の限界速度というのは遥かに遅くて、思ったよりも早くあっという間に距離を詰められてしまっている。


それでも足を止めたりなどでもして、これ以上距離を詰められればまずい。

本当に第一次侵攻の見た惨事のごとく、私など容易く食べられてしまうだろう。


__なのに!



「あっ…………!」



ズザザザッと派手な音を立てて思いっきり地面に体を打ち付けるように転んだ。

勢いがあっただけに、かなり地面の上を滑ってしまった。


半ズボンでいたため膝小僧や、長袖であったものの手から腕にかけてが熱をもって痛み出す。


それでも、足に力を込めて立とうとあがく。


のんびり歩いていればあの化け物に食べられてしまうから。

食べられてしまう恐怖なんてそんなものは、味わいたくない。

怪我を確認する暇はない。


少しでも遠くに逃げなければ。

そう思うのに、膝は私を嘲笑うようにガクガクと震えるばかりだ。

Trauer 03→←Trauer 01 [始まり]



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (38 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
70人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:猫鞠 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=neconuco  
作成日時:2021年3月7日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。